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ペットドアの後付けで失敗しない|一級建築士が3つの方法と注意点を解説

ペットドアを後付けしようとすると、

「このドアに穴を開けられるのか」

「壁にも取り付けられるのか」

と考えがちです。
しかし多くの場合、やってはいけない危険なことから、便利なのに採用しなかったことなどが多く出てくるのがペットドアの後付けだと自分は考えます。

今回はぜひ失敗する前に、この情報を知っていただき、後悔の少ないペットドアライフにつなげていただけたらと思います。

 

今回の内容とも一部重複しますが、ペットドアについて以前記載したページがあります。

コチラも併せて参考にしていただけたらと思います。

https://nojima-k.jp/staff-blog/post-18939/

 

目次

1. 今の家でペットドアを採用する前に

ペットドアを施工できるなどの話は重要ですが、自分はその前に、本当にそこにペットドアが必要なのかを考えた方がいいと思っています。

それと既存住宅には、新築住宅にはない大きなメリットがあります。

それは犬や猫が実際に家の中でどのように動いているのか、すでに分かっていることです。

いつも開けっぱなしになっている扉、犬猫が前で待っている場所、飼い主が一日に何度も開け閉めしている扉などを確認すると、ペットドアが必要な場所はかなり絞れてきます。

1-1. 開けっぱなしのドアを見る

まず確認したいのが、普段から開けっぱなしになっているドアです。

犬や猫が何度も行き来するため、閉めてもすぐに開けることになり、面倒なので最初から少し開けている家庭も多いはずです。

このようなドア付近は、ペットドアを取り付ける意味がある可能性が高いです。

反対に犬猫がほとんど通らない場所であれば、わざわざドアを加工しても使われない可能性があります。

後付けの場合は「どこなら取り付けられるか」から考えるのではなく、今の生活の中ですでに不便が起きている場所を探す方が分かりやすいと思います。

1-2. 犬猫がドアの前で待っている場所

犬や猫がドアの前で待っている場所も、ペットドアを検討する一つの目安になります。

ドアの前に座る、こちらを見る、鳴く、前足で触るなど、同じ場所で何度も行動しているのであれば、その先へ移動したいことが分かります。

 

新築の場合は、完成後に犬猫がどのように動くのかを想像しながら設計します。

しかし今住んでいる住宅であれば、すでに実際の行動を見ることができます。

どの部屋で過ごすことが多いのか。

トイレや水飲み場へ行く時にどこを通るのか。

夜はどこへ移動するのか。

こうした行動そのものが、ペットドアを取り付ける場所を考える材料になります。

1-3. 入ってほしくない場所も決める

ペットドアは自由に移動できるようにする設備ですが、どこへでも自由に行ければ良いわけではありません。

例えばキッチンやパントリー、洗剤や薬品などを置いている場所、玄関につながる場所など、家庭によっては犬猫に入ってほしくない場所があります。

ペットドアを付けるということは、犬猫が人の手を借りずに移動できる範囲を広げるということです。そのため、「どこへ行けるようにするか」と同時に「どこへは行かせないか」も考えておく必要があります。

ここまで整理してから、初めて「どの場所にどの方法でペットドアを付けるか」を考えていきます。

 

ペットドアを取り付けする際、今の犬猫の住まい方を見ることは重要です。

2. 後付けする3つの方法

既存住宅にペットドアを後付けする方法は、大きく分けると3つあります。

①今あるドアを加工する
②ペットドア付きの扉へ交換する
③壁にペット用の通路をつくる

どの方法が一番良いかは、住宅や建具の状態、取り付けたい場所によって変わります。

 

見た目だけで考えると「今あるドアに穴を開けるのが一番簡単そう」と思うかもしれませんが、実際にはそうとも限りません。

実のところ、自分が建具屋さんと既存ドアへペットドアを取り付けた経験では、むしろ今あるドアを加工する方法が3つの選択肢の中で、一番難しいと感じています。

ここではその例を盛り込みながら、解説をしていきたいと思います。

2-1. 今あるドアを加工する

市販のペットドアの商品をネットなどで購入し、現在使っている室内ドアへ穴を開けて取り付ける方法です。

これは完成した状態だけを見ると、ドアに穴を開けて部品を取り付けるだけなので簡単そうに見えます。

しかし室内ドアは様々な方法で作られています。

つまり参考の動画があったりしたとしても、毎回同じつくりになっているとは限らず、ドア全部が板になっている場合から、内部に桟や補強材だけで内部が何も入っていい場合まであります。

そのため、このようなことをちゃんと理解せずに施工をし、取り付ける場所を間違えるとドアそのものを弱くしてしまったり、最悪使えなくなります。

この方法については、3章で詳しく説明します。

2-2. ペットドア付きの扉へ交換する

今あるドアを加工せず、最初からペットドアが付いている建具へ交換する方法もあります。

既存のドア枠をそのまま利用できる場合もあれば、枠を含めて工事する場合もあります。

自分は、見た目や色が大きく変わらないのであれば、この方法は比較的安心して施工しやすいと思っています。

ただし、既存住宅では周りの建具との色味やデザインが合うかも重要です。

ペットドアだけ新品になり、そこだけ大きく雰囲気が変わる場合もあります。

そのあたりが許容できるかどうかも重要になってきます。

2-3. 壁にペット用の通路をつくる

ドアではなく、壁に直接ペットドアを設ける方法もあります。

間取りや家具配置によっては、こちらの方が犬猫の動線をつくりやすい場合があります。

特に猫を複数飼っている場合などは、一つの出入口に動線が集中しないようにすることは、ケンカなどをしたときに効果を発揮します。

また場合によっては、キャットウォークの高いところで設置して、部屋を聞きできるなども楽しいかもしれません。

 

ただし壁の中には、柱や筋交い、電気配線、場合によっては設備配管などが入っています。

そのため「この場所が便利だから」という理由だけで、いきなり穴を開けることはかなり注意が必要です。

この方法についても、3章で壁の中を確認する方法や注意点を詳しく説明します。

 

ペットドアを後付けする方法は3つ。具体的な例を解説していきます。

2-4. 3つの方法は「簡単そう」で決めない

この3つを見ると、今あるドアを加工する方法が一番安く、簡単そうに見えるかもしれません。

しかし施工の難しさだけで考えると、その家ごとで正解変わるだろうと自分は思います。

扉そのものを交換した方が施工しやすい場合もありますし、間取りによっては壁に通路をつくる方が犬猫にとって使いやすいこともあります。

 

そのため、後付けでは

犬猫がどこを通りたいのか
住宅のどこなら安全に施工できるのか
どの方法なら無理なく工事できるのか

を合わせて考える必要があります。

3. 実際にドアを加工する

ペットドアを後付けする方法として、最初に思いつきやすいのが、現在使っているドアに穴を開けて市販のペットドアを取り付ける方法です。

完成した状態だけを見ると、必要な大きさの穴を開けて部品をはめ込むだけなので、それほど難しい工事には見えません。

不可能な工事ではありませんが、単純に電動工具が使えればできるというものでもありません。

ここでは具体的な手順について話をしていきます。

3-1. 室内ドアは一枚の板とは限らない

室内ドアを見ると、大きな一枚の木の板のように見えます。

しかし実際には、内部まで木材が詰まっているとは限りません。

例えば下の画像のようなフラッシュドアと呼ばれる建具では、内部に骨組みとなる桟を入れ、その両側に面材を貼ってつくられているものがあります。

そのため何も考えずにペットドアの大きさに合わせて穴を開けると、内部の桟まで切ってしまう可能性があります。

桟はドアの形や強度を保つためのものなので、切る場所によっては扉の強度を落とします。

とくに内部の桟は建具の下部分にはほぼほぼ入っているので、そこを切るとドアが壊れる可能性すらあります。

そのため多くのペットドアの写真は、建具の下から10センチ近く上がっているところから設置をしています。

物理的にこうしないと強度不足になるため、これは絶対に注意が必要になります。

3-2. 穴を開けた後に補強が必要になることもある

もう一つ考えておきたいのが、ペットドアを固定する部分です。

ドアの中が空洞になっていれば、穴を開けた周囲に十分な下地がない場合があります。

その場合は単純にペットドアをはめ込むだけではなく、必要に応じて内部へ補強材を入れることも考えなければなりません。

つまりどこを切ってはいけないかだけでなく、切った後にどのように強度を確保するかまで考える必要があります。

3-3. DIYするなら「失敗したらドア交換」も考える

市販のペットドアにはDIYで取り付けられると紹介されている商品もあり、取り付け方法そのものが特殊なわけではありません。

ただし一度ドアに大きな穴を開けると、簡単に元へ戻すことはできません。

穴の位置を間違えた。

内部の桟を切った。

加工した部分がきれいに納まらない。

このような場合、最終的にはドアそのものを交換する可能性もあります。

 

そのため自分としては、失敗した場合にはドアを交換しても構わないと思える場合以外、DIYでの加工はあまりおすすめしていません。

ペットドアの価格だけを見ると安く感じますが、加工する対象は今使っている建具で、それがつかなくなってもいいのか。

そこまで含めて購入や取り付けを判断した方がいいと思います。

 

ペットドアのDIYは不可能ではありません。ですが難しい。と実際に取り付けた経験から思います。

4. ペットドア付きの扉と交換する

現在のドアへ穴を開けるのではなく、最初からペットドアが付いている扉へ交換する方法もあります。

自分は色やデザインに大きな違和感が出ないのであれば、この方法は比較的おすすめしやすいと思っています。

既存ドアを無理に加工する必要がなく、ペットドアを取り付けることを前提につくられた建具を使えるからです。

4-1. ドアだけ交換できるとは限らない

「扉を交換する」と聞くと、今あるドアを外して新しいドアを入れれば終わりと思うかもしれません。

しかし既存のドア枠と、新しく取り付ける建具の寸法や金物が合うとは限りません。

条件が合えば既存の枠を利用できる場合もありますが、同じメーカーであっても年式が違うと難しいこともあります。

そのような場合、枠を含めて施工したり、既存の枠を残したまま新しい枠を取り付けたりする場合もあります。

住宅によって施工方法が変わるため、商品だけ購入する前に、現在の建具がどのような状態なのかをハウスメーカーなどに確認してもらった方が安心です。

4-2. 色やデザインも重要

新築の場合は、家全体の建具を同時に選ぶため色を合わせやすいですが、既存住宅ではそうはいきません。

リビングに同じ色のドアが何枚も並んでいる中で、一枚だけ全く違う木目や色になると、悪目立ちすることがあります。

そのためペットドア付き建具へ交換する場合は、機能面もですが、今ある床・壁・他の建具と色を合わせられるかも確認しておきたいところです。

4-3. 商品を選べるなら使い方まで確認する

ペットドア付き建具を選ぶ時には、開口の大きさだけではなく、フラップを外せるか、ロックできるか、開閉時の音はどの程度かなども確認します。

11章に詳細を書きますが、犬猫が最初からフラップを押して通れるとは限りません。

そのため最初はフラップを外して慣らせる商品であれば、後から使ってもらいやすくなる場合があります。

 

今ある建具を外し、ペットドア付きの建具に交換する方が、間違いは少ないです。

5. 壁にペットドアを付ける

ペットドアは、必ず建具に付けなければならないわけではありません。

間取りによっては、壁に直接ペット用の通路をつくる方法もあります。

例えばドアの位置とは別の場所を犬猫が移動した方が生活しやすい場合や、猫を多頭飼いしていて動線を分けたい場合などです。

ドアだけに限定せず、犬猫の動線から考えて壁を使うという選択肢もあります。

5-1. 多頭飼いや動線を増やせるメリット

ペットドアは必ずドアにつけなくてはいけないものではありません。

場合によっては、壁につけたほうがいい場合も存在します。

例えば、犬の居場所と出入りのドアが遠い場合、すぐ近くに壁があるならそこを開けてしまう。

それ以外には、多頭飼いで猫の動線がふさがれる場合などに備えて、複数動線を確保するなどです。

場合によっては、キャットウォークを使いその先にペットドアを付けることも可能です。

ただペットドアを付けた先は見にくくて、事故が起きやすいので、ペットドア付近は落ちないような工夫(キャットウォークの奥行きを深くする等)や奥が見えるフラップを選ぶ事が重要です。

5-2. 壁の中に何があるか確認する

壁への取り付けはドア加工以上に注意が必要です。

壁の中には柱や間柱、筋交い、電気配線などが入っています。

場所によっては設備配管が通っていることもあります。

これは普段この仕事をしている自分でも、表面から見ればただの白い壁にしか見えない点が怖いところです。

もし穴を開けるにしても、まずは小さく、浅く開けて中を確認することが必ず必要になってきます。

 

それと図面が残っていれば大丈夫と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

確認材料になりますが、実際の施工と完全に一致しているとは限りません。

古い住宅やリフォーム歴のある住宅では、特に現地の情報(小さく穴を開ける)などが重要になってきます。

5-3. いきなり大きな穴を開けない

先ほども書きましたが、重要なので再度記載します。

自分が壁へペットドアを後付けするのであれば、いきなり完成寸法の穴を開けるようなことはせず、まず小さな穴を浅く開けて内部を確認します。

また場合によってはコンセントボックスやスイッチボックスを確認できる範囲で外したり緩めたりして、現状把握に努めます。

 

そして柱や筋交い、配線などに問題がないことを確認してから、少しずつ必要な大きさまで広げます。

ペットドアは小さな設備ですが、壁に穴を開けるとなれば住宅そのものに手を入れる工事です。

DIYでできるかどうかよりも、壁の中をきちんと判断できるかを基準に考えた方がいいと思います。

 

壁にペットドアは意外かもしれませんが、意外にいい解決策になる場合もあります。

6. ペットドアのサイズを確認する

取り付け方法と同じくらい重要なのが、ペットドアの大きさです。

「猫用」「小型犬用」「中型犬用」と書いてあれば、それだけで選べそうに感じます。

しかし同じ体重でも犬種によって足の長さや肩幅など違いますし、猫でも体格にはかなり差があります。

特に後付けの場合、一度穴を開けてしまってから「思ったより狭かった」と分かっても簡単には戻せません。

商品を買う前、そして穴を開ける前に、実際に暮らしている犬猫の体を確認して、さらに今後どう成長するかまで考えることが大切です。

6-1. 体重だけではサイズを決めにくい

ペットドアの商品には、対象体重や「小型犬用」「中型犬用」といった表示があります。

商品を選ぶ時の目安にはなりますが、それだけで判断するのは注意が必要だと自分は思います。

例えば同じ10kg前後の犬でも、胸幅が広い犬と胴長の犬では必要な開口幅が変わることは想像つくと思います。

そのため最終的には、実際に通る犬猫の体格を測って決める方が確実です。

6-2. 床からペットドアまでの高さも確認する

意外と忘れやすいのが、ペットドアの下端が床からどのくらいの高さになるかです。

若い犬であれば多少の段差を気にせず通れるかもしれません。

しかし小型犬や脚の短い犬、年齢を重ねた犬の場合、毎回またぐ高さが大きいと負担になります。

特に既存ドアを加工する場合は、内部の桟との兼ね合いもあるため、「犬にちょうどいい高さ」と「建具として加工できる高さ」の両方を確認することになります。

6-3. 疑似体験でサイズ確認

例えば壁の厚みや建具の厚みを測り、疑似的にペットドアのサイズを作って試すのもいいと思います。

少し作るのは手間だと思いますが、買ったのに小さかったとか、足の長さの問題で使ってくれなさそう。などを見るのに便利な可能性があります。

 

それ以外には当社のペット共棲住宅のような、犬も猫も歩いて確認できる展示場を使い、サイズ確認する方法もあります。

それでサイズ的に問題ないと判断したら、メーカーやサイズを確認して発注をすると間違いが減ると思います。

ちなみに住宅建材メーカーの商品を見ても、ペットドアの有効開口寸法は同じではありません。

例えばPanasonicさんのペット用くぐり戸はおよそ幅180mm×高さ280mm、LIXILさんでは商品によって幅226mm×高さ279mmになります。

 

ペットドアは成長から老化、体格など多くのチェックポイントがあります。

7. フラップの3つのチェックポイント

犬猫が十分に通れる大きさがあれば、それで安全というわけでもありません。

これも結構ペットドアで問題になるのですが、犬猫が体で押して通るフラップ部分の素材や硬さです。

ペットドアによって、柔らかい素材のものもあれば、比較的硬い板状のフラップを使っているものもあります。

自分としては、硬くて1枚しかないフラップはあまりお勧めをしません。

7-1.フラップを外せるか

まず確認したいのが、フラップを取り外せるかどうかです。

犬猫によっては、フラップがあることで、通れないと認識することが多々あるそうです。

そこで最初にフラップを外してただの穴として何度も通ってもらい、「ここは通れる場所」と覚えてもらってからフラップを戻す方法があります。

これによって、ペットドアを使ってくれる可能性がぐっと上がったというデータがあるとパナソニックさんの引き戸の開発者の方が言っておられました。

ペットドアの全ての商品がフラップを外せるわけではないため、後付けする商品を選ぶ時には、設置した後にどう慣らすかまで考えて確認しておいた方がいいと思います。

7-2. フラップの硬さと枚数

次に確認したい点は、硬さと枚数です。

これらが一緒になっている理由は、「硬い素材」かつ「1枚」のフラップの場合、犬猫がペットドアを通っている途中で詰まったり、動きにくくなったりする可能性があるからです。

つまり硬くなくて、複数枚(二枚以上を組み合わせる)商品の方がどうしても動きやすいです。

 

とくに特に体の小さい犬猫や、年齢を重ねて力が弱くなった犬猫では、若い時には問題なく使えていたものが将来使いにくくなる可能性もあります。

ペットドアは何年も使う設備なので、今通れるかだけでなく、できれば将来のことまで考えて選んだ方がいいと思います。

 

また硬さの問題は、8章にも絡んでくるので、柔らかいものを自分はお勧めします。

7-3. ロックが可能か

現在は出入りをしてほしいから設置をするペットドアですが、将来的にまでずっとそのままかと言われると違う可能性もあります。

住まい方が変わったり、同居する動物などが変わったら出入りしてほしくない可能性も出てきます。

それ以外でも、来客があるから廊下にいてほしい時に自由に出入りされないようにしたいときもあるでしょう。

そのような時に便利なのがロック機能です。

頻繁に使うものではないですが、あったら便利なのでついているものを購入することをお勧めします。

 

ペットドアはフラップ部分にも多くの注意点があります

8. 引き戸にペットドアの後付けは注意

今ペットドアを付けたい場所が、開き戸ではなく引き戸ということもあります。

しかし自分は、引き戸への後付けは開き戸以上に慎重に考えた方がいいと思っています。

理由の一つが、犬や猫がペットドアを通っている途中でも、人が引き戸そのものを動かせてしまうことです。

以下お勧めしない理由をまとめ、どうしても設置したい場合までまとめたいと思います。

8-1. 新築時のペットドア引き戸

Panasonicさんの引き戸とペットドアを参考に話をします。

実はこの商品が出るまで、一般的に引き戸にペットドアが付いた商品は販売されていなかったようです。

理由は8-2の内容のような問題があったからです。

そのためパナソニックさんの引き戸は

  • 戸先にペットドアがついている
  • 扉をまたがずにペットドアがついている
  • ペットドアのフラップが柔らかい

この3要素を備えています。

これらは8-2の要素を排除するため、考えられた仕組みになります。

 

逆の表現をすると、8-2の問題がクリアできない場合は、引き戸にペットドアを設置するのはあまりお勧めできないということになります。

8-2. 引き戸に後付けペットドアを付ける危険性

開き戸の場合、ペットドアを犬猫が使用している時に開き戸を開いたとしても、大けがにはつながりにくいです。

しかし引き戸の場合は、扉そのものが横へ動きます。

 

実際に引き戸を触ったほうが理解しやすいかと思いますが、今ある引き戸にペットドアを付けたとします。

後付けのペットドアは、どうしても建具の中央付近に取り付けられます。

そこに犬や猫がペットドアから体を半分出している途中で、誰かが引き戸を動かしたとします。

そうすると、犬や猫は壁や建具の間に体が挟まれる可能性があります。

人間側から犬猫が見えていれば避けられますが、反対側から通ってくる場合には分からないこともあります。

そして柔らかいフラップならいいですが、硬いフラップだとフラップ部分が壁などに接触し何かしら壊れる可能性があります。

とにかく問題点が多いので、自分としては引き戸にペットドアはお勧めをしていません。

 

引き戸にペットドアを付けると犬や猫の体が挟まり、大事故になる可能性があります。

9. ペットドアのDIYについて

ここまで読むと、「結局DIYでは付けられないのか」と思われるかもしれません。

ペットドアには、DIYで取り付けることを前提に販売されている商品もあります。

そのため、DIYそのものが不可能という意味ではありません。

ただ自分はDIYできる商品であることと、誰でも簡単に施工できることは別の話だと思っています。

9-1. 必要なのは穴を開ける技術だけではない

ペットドアの後付けでは、穴をまっすぐ開けるための工具や技術も必要ですが、それ以上に「どこに穴を開けてもいいのか」を判断する知識が必要です。

ドアなら内部の桟や補強材、壁なら柱・筋交い・配線・配管などを考える必要があります。

うまく穴を開けることができても、必要な補強ができていなかったり、周囲がきれいに納まらなかったりすれば、長く使う住宅設備としては問題が残ります。

9-2. DIYするなら失敗した時のことまで考える

特に今あるドアを加工する場合は、一度穴を開けてしまえば元には戻りません。

少し位置を間違えた程度なら修正できる場合もありますが、内部の桟を大きく切ってしまったり、ペットドア本体より大きな穴を開けてしまったりすると、最終的には扉そのものを交換することになります。

そのため自分なら、「DIYで安くできるか」ではなく、「失敗した場合にドアを交換するところまで許容できるか」という基準で考えます。

自分も建具屋さんと既存ドアへ取り付けた経験がありますが、見た目ほど簡単な工事ではないという印象があります。

9-3. 壁へのDIYはさらに慎重に考える

壁の場合は、ドアを一枚交換すれば済む問題ではありません。

構造材や配線を傷つければ住宅そのものの補修が必要になります。そのため壁への後付けについては、DIY経験があるというだけで簡単に手を出さない方がいいと思います。

少なくとも、壁の内部を確認できないまま大きな穴を開けることは避けたいところです。

10. 工事してから「使ってくれない」を避ける

どれだけ苦労してペットドアを付けたとしても、犬や猫が使ってくれないことは多々あります。

犬や猫は忖度などしてくれませんし、やりたくないことはしたくありません。

犬猫にとっては、昨日までなかったものが突然ドアに付いた状態です。

そのため自分は取り付ければ終わりではなく、取り付けた後にどうやって慣れてもらうのかまで考えて商品を選ぶ必要があると思っています。

10-1. 最初はフラップを外しておく

7章にも記載したように、フラップを簡単に取り外せる商品であれば、最初は外してただの穴にしておく方法が無難です。

向こう側が見えて、何も押さなくても普通に通れる状態であれば、犬猫にとっても「ただの穴」と理解しやすくなります。

まず大事なのは「ここは通れる場所」と覚えてもらいます。

 

そして普段の生活の中で何度もその場所を通り、そこを使うこと自体が普通になってから次の段階へ進んだ方がいいと思います。

10-2. 最後にフラップを付ける

通れる場所だと十分に犬や猫が理解した後に、ようやくフラップを取り付けます。

すると犬猫からすれば、「いつも通っていた場所に何か付いた」という状態になります。

もちろん個体差はありますが、最初から無理に頭を押し込んだり、怖がっているのに何度も通らせたりするより、段階を踏んだ方がいいので参考にしていただければと思います。

11. まとめ 後付けペットドアは難しい

最後に本音を書くのですが、ペットドアの後付けをハウスメーカーに頼んでも多分乗り気で仕事してくれることは少ないはずです。

理由は簡単で、今まで書いたようにチェックポイントが多く難しいわりに、リスクが高いからです。

そして何より、苦労して付けても「あんまり使ってくれないんです」みたいな話すらあります。

 

そして自分も同じ反応です。できる事なら断りたいのが本音です。

そしてお断りできないなら、4章のドア交換をお勧めし、それでもお断りされたら3章や5章の件を考えます。

また引き戸はパナソニックさんの引き戸に交換するなど以外は、多分お断りします。

 

なぜこれを最後に書いたかというと、それくらい難しいということを知ってほしいからです。

最初にペットドアの取り付けをやりたくないことを書くと「ただの面倒臭いことは嫌だ」ということになるのですが、理屈を先に書いて「それでも嫌なんです」というのは違うだろうと思って書いています。

 

しかしペットドアは使い方を間違わなければ、楽しい時間を過ごすいいツールにもなります。

理屈をちゃんと知っていただき、リスクを知っていただき、それでも取り付けしたりDIYされる分には何の問題もありません。

今回の文章が少しでも何かの参考になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

※今回の内容はDIYを推奨したり、安全を担保するためのものではありません。

 ペットドアの後付けには、住宅や建具の状態を見ながら判断しなければならない部分が多くあります。

 この記事を参考にされる場合も、施工できるかどうかはそれぞれの住宅に合わせて判断してください。

11-1.執筆者プロフィール

野島建設株式会社 代表取締役社長 野島比呂司
一級建築士 宅地建物取引士 増改築相談員

富山県出身 近畿大学理工学部建築学科卒
地元のハウスメーカーに就職後、2007年野島建設に入社。
会社の2代目として仕事をするだけでなく、自分でも会社を創業。野島建設として1000棟を超える施工実績があり、富山県の市町村単位では複数回の着工数1位の獲得経験あり。
2024年の能登の震災による仮設住宅建設にも尽力。その際に人と愛玩動物とのかかわりについて考え、ペット共棲住宅の重要性を実感。

 

投稿日 2026年10月17日

 

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