犬と一緒に見学できるモデルハウス 愛犬にも家を体験してもらう理由
2026年08月22日
「犬は家族以上に家族」になっている。
自分はそのように感じることは多いのですが、住宅会社にとって犬は家族の論理はまだまだ一般的ではありません。
しかし犬が室内で一生を過ごすことも普通になり、犬が住宅を体験せずに家を建てたり改修することは博打のようなものだと思います。
そのようなことをしなくても済むよう、このページでは様々な視点で犬との住まいについて考えていきたいと思います。
目次
1. 犬と入れる住宅展示場は少ない
犬を連れて住宅展示場やモデルハウスを見学できるかどうかは、展示場や住宅会社によって異なります。
例えば敷地内への同伴は可能でも、建物の中へは入れない場合もあります。
室内へ入れる場合でも、抱っこ、ケージ、ペットカートなどが条件になっていることがあります。
犬を床へ下ろし、自由に歩かせながら見学できるモデルハウスは、さらに限られます。
このように犬と一緒に見学できたとしても条件付きの例が多く、犬が自分の足で住宅内を歩ける展示場は一般的とはいえません。
1-1. ペット同伴の条件は展示場ごとに違う
「ペット同伴可」と書かれていても、次のような違いがあります。
- 展示場の敷地内のみ同伴できる
- 屋外のイベントスペースだけ利用できる
- 抱っこをすれば室内へ入れる
- ケージやペットカートが必要
- 一部のモデルハウスだけ同伴できる
- 犬が床を歩くことも認められている
このように住宅会社ごとに対応が違う場合があります。
また普段は犬の同伴ができなくても、犬向けイベントの開催時だけ特別に入館できることもあります。
愛犬と一緒に住宅を見学したい場合は、展示場全体の案内だけでなく、見学を希望する住宅会社へ直接確認した方が確実です。
1-2. 犬との同伴が難しい理由
住宅展示場には、犬が好きな方だけが来場するわけではありません。
犬が苦手な人もいれば、犬のフケや唾液などに含まれる物質によって、アレルギー反応が出る方もいます。
そのほかにも、住宅会社側は次のような問題を考える必要があります。
- 抜け毛が室内へ残る
- 犬特有のにおいが残る
- 室内で排泄する可能性がある
- 鳴き声がほかの来場者に影響する
- 床や壁、家具に傷がつく
- ほかの犬や来場者と接触する
- 犬が苦手な子どもや高齢者も来場する
モデルハウスは、多くの人が同じ空間を見学する施設です。
次に見学する方への配慮まで考えると、犬の入館を断ったり、抱っこやケージを条件にしたりすることには合理的な理由があります。
1-3. 完成見学会ではさらに難しい
お客様の家を借りて開催する完成見学会の場合は、犬を自由に歩かせることがさらに難しくなります。
モデルハウスは住宅会社が管理する建物ですが、完成見学会の会場はこれから施主が暮らす家です。
見学会が終われば、そのまま引き渡しを行います。そのため、
- 床や壁を傷つけない
- 抜け毛やにおいを残さない
- 室内を汚さない
- 建具や家具を傷めない
- 他の犬の臭いを残さない
といった配慮が必要になり、貸す方も借りるほうも難易度が高いことになります。

2. 犬と見学する前に確認したいこと
犬を連れて住宅展示場へ行く場合は、予約前に同伴条件を確認しましょう。
現地へ行ってから「室内には入れない」「抱っこが必要」「カートが必要」と判明すると、十分な見学ができない可能性があります。
特にどのような状態で入れるのか、床を歩けるのか、ほかの来場者と重なるのかまで確認しておくことが大切です。
2-1. 犬を室内へ入れられるか
最初に確認するのは、犬をモデルハウスの中へ連れて入れられるかどうかです。
「ペット同伴可能」と案内されていても、展示場の屋外通路やイベント会場だけを指している場合があります。
これではただの外の散歩になってしまいます。
それと室内へ入れるモデルハウスがあれば、NGのモデルハウスもあります。
総合住宅展示場では、複数の住宅会社がそれぞれモデルハウスを運営しています。
そのためある建物では入館できても、隣の建物では断られることもあります。
見学したい住宅会社が決まっている場合は、その会社のモデルハウスへ直接確認したほうが無難です。
2-2. 床の上を歩けるか
犬を室内へ連れて入れられる場合でも、2種類の対応に分かれます。
- 抱っこしたまま見学する
- 床へ下ろして犬も歩かせられる
大した差だと思わない方もいると思いますが、この差はかなり大きいと自分は思っています。
抱っこした状態でも、室内のにおいや音に対する犬の反応を見ることはできます。
しかし、次のようなことは、実際に犬が歩かなければ分かりません。
- 床で滑らないか
- 立ち上がるときに踏ん張れるか
- 曲がるときに後ろ足が流れないか
- 段差を無理なく越えられるか
- 室内の動線を歩きやすいか
- 床付近に風や温度差がないか
- どの場所を休む場所として選ぶか
犬との暮らしを具体的に確認したい場合は、「同伴できますか?」だけでなく、「犬を床へ下ろして歩かせられますか?」まで聞く必要があります。
2-3. 必要な持ち物
犬同伴の条件として、持ち物を指定されることがあります。
一般的に考えられるものは次のとおりです。
- おむつ
- リード
- ハーネス
- ペットカート
- マナーウェア
- 排泄物を処理する袋
- 足を拭くタオル
- 消臭用品
- 飲み水
- 犬が落ち着くための毛布やマット
展示場によっては、狂犬病予防注射や混合ワクチンの接種状況を確認されることもあります。
またモデルハウス内で粗相をした場合の対応も、事前に確認しておくと安心です。
犬が床を歩ける展示場であっても、マナーウェアの着用を求められる場合もあります。
2-4. ほかの犬との接触も考える
犬同伴可能な展示場では、ほかの犬が来場している可能性があります。
愛犬が知らない犬や人を苦手としている場合、見学そのものが大きな刺激になることがあります。
そのため、
- 各時間一組限定か
- ほかの来場者と重なるか
- 犬同伴の来場者が多い時間帯か
- 室内でリードをつけたまま歩けるか
- 落ち着くまで待てる場所があるか
なども確認しておくとよいでしょう。
特に犬の反応を住宅選びの参考にしたい場合、ほかの人や犬が多い状態では、その家への反応なのか、周囲への反応なのかを判断しにくくなりますので、注意が必要だと思います。

3. 犬を抱っこして見学しても分かること
犬を抱っこして見学しても、意味がないわけではありません。例えば、
- 室内のにおいを気にする
- くしゃみをする
- 目や鼻を気にする
- 呼吸が変わる
- 落ち着かなくなる
- 飼い主の腕から執拗に降りたがる
- 反対に、体を固くして動かなくなる
といった変化に気づく可能性があります。
3-1. 犬のシックハウス(トータルVOC)
犬を抱っこした状態でも、室内へ入った直後の反応は確認できます。
例えばにおいを強く気にする、くしゃみをする、目や鼻を気にするなどです。
住宅内には建材や接着剤、家具などから発生する揮発性有機化合物が存在することがあります。
簡単に言えば、犬のシックハウスの症状が現れるかどうかです。
そしてもう一つ考え方が重要で、自然素材であっても揮発性有機化合物は存在します。
そのためその、石油由来と自然素材の両方から出てくる全体量を測る考え方がトータルVOCです。
野島建設では麻布大学獣医学部の杉田先生に来ていただき、シックハウスより厳しい基準を設けたトータルTOCの測定をしています。
もちろん問題がないレベルというお墨付きをいただいております。
しかしほとんどの会社ではこのような測定をしていませんので、実際に体感をして異変がないか確認した方がいいとは言えます。

3-2. 落ち着かない原因は、空気だけではない
モデルハウスで犬が落ち着かない場合、住宅の空気環境以外にもさまざまな原因が考えられます。
- 初めて来た場所への緊張
- 知らない人のにおい
- 以前来場した犬のにおい
- 外を通る車や人の音
- 室内の反響音
- 明るさ
- 室温や湿度
- 飼い主自身の緊張
- 抱っこされた状態への不満
「この家に入ったら落ち着かなかった」という一つの行動だけで住宅の良し悪しを判断するのではなく、何に反応しているのかを一つずつ分けて見ることが大切です。

4. 犬が自分の足で歩くと見えることが増える
犬を床へ下ろし、一緒に住宅内を歩くことで確認できることは大きく増えます。
中でも分かりやすいのが床です。
住宅会社から「ペット対応の床です」「犬が滑りにくい床です」と説明されても、その床がすべての犬に合うとは限りません。
犬種、体重、年齢、足腰の状態、爪の長さ、肉球周りの毛などによって、床との相性は変わります。
同じ床材でも、若くて元気な犬と、足腰が弱くなった老犬では、歩き方や踏ん張り方が異なります。
4-1. 滑らずに歩けるか
まずは、犬が普通に歩く様子を確認します。
見るポイントは、単に転ばないかだけではありません。
- 歩き始めに足が滑らないか
- 後ろ足が外側へ流れないか
- 立ち上がるときに足が開かないか
- 前足だけで体を引っ張っていないか
- 歩幅が不自然に小さくなっていないか
- 慎重に足を置きすぎていないか
犬が滑りやすい床では、転倒しなくても、体を支えるために余計な力を使っている可能性があります。
見た目には普通に歩いているようでも、よく観察して無理をしていないか見る必要性があります。
4-2. 曲がる・走る・止まる動作を見る
実はゆっくり歩くだけでは、床との相性が分かりにくいことがあります。
床の滑りやすさが表れやすいのは、動き始め、方向転換、停止などです。
可能な範囲で、方向を変える動きをするように促してみましょう。
そののようなときに、曲がるときに後ろ足が外へ流れる。
止まったときに数歩滑る。
立ち上がるときに足が左右へ開く。
このような動きがあれば、床材との相性を考える必要があります。
4-3. 滑り抵抗係数などの確認
床材を比較するときには、滑り抵抗係数(CSR)という数値が参考になります。
これはカタログ値などありますので、担当者に確認をしましょう。
0.4付近が一つの目安になり、それ以上だともっといいと判断されます。
しかし滑り抵抗係数は床の滑りにくさの基準ですが、数値だけでなく
- 床の硬さ
- 表面の凹凸
- 肉球との摩擦
- 爪の引っかかり
- 床材の柔軟性
- 犬の歩き方
- 体重
- 年齢
なども関係します。
爪がまったく引っかからず滑る床も問題ですが、反対に爪が強く引っかかりすぎる床も、急に方向を変えたときに足へ負担がかかる可能性があります。
数値は床材を選ぶ基準として使い、最後は実際の犬の歩き方も確認することが大切です。
4-4. 傷や音まで確認する
犬が日常的に歩いている展示場であれば、床の経年変化も確認できます。例えば、
- 爪が床へ当たる音
- 細かな引っかき傷
- 走った場所の摩耗
- 傷の目立ち方
- 汚れの残り方
- 掃除後の見え方
などです。
実際に犬が歩いている展示場なら、傷がつきやすいかだけでなく、傷がついたときに目立つのか、風合いとしてなじむのかも確認できます。
犬と一緒に歩いて住宅を見学することには、未来の維持管理まで想像しやすくなるメリットがあります。

5. 床以外に確認したい6項目
犬と住宅を見学するときは、犬用設備の事ばかりを見られます。
足洗い場、リードフック、ドッグラン、犬用スペースなどです。
しかしそれらが揃っていても、犬が快適に過ごせるとは限りません。
野島建設ではペット共棲住宅の基本として、次の6項目を考えています。
5-1. 温度
室温は20〜26℃、部屋間の温度差は3℃以内を一つの目安としています。
確認するときは、リビングの温度計だけを見て終わらせないことが大切です。
犬が実際に移動する、各部屋の温度差を確認します。
特に犬は人より床に近い位置で過ごすため、人が立って感じる温度と、犬がいる高さの温度が違う場合があります。
5-2. 湿度
相対湿度は45〜60%を目安としています。
湿度が低すぎると、皮膚や呼吸器への負担が心配になります。
反対に湿度が高すぎると、体感温度が上がりやすく、カビやダニも発生しやすくなります。
犬が暮らす住宅では、夏の暑さだけでなく、冬の暖房による乾燥も考える必要があります。
モデルハウスを見学するときは、室温と湿度をセットで確認します。
5-3. 音
音は50dB以下を一つの目安としています。
ただし一定時間の平均的な音だけでなく、突然入る音や繰り返し聞こえる音も重要です。
例えば、車やバイクの走行音、階段を歩く音などです。
犬がどの音へ反応するかを見ることで、寝床やケージを置く場所、窓の位置、防音対策を考える参考になります。
5-4. 明るさ
生活時の明るさは100〜300lx、夜間の足元は30〜70lxを目安としています。
日中に見学するだけでは、夜の室内がどの程度暗くなるか分かりません。
特に老犬は、暗い場所や急な明暗差によって歩きにくくなる可能性があります。
廊下、階段、トイレまでの道、玄関などに、夜間でも安全に歩ける明るさがあるかを確認します。
宿泊体験ができる住宅であれば、照明を落とした後の見え方まで実際に体験できるので安心です。
5-5. 段差
段差は基本3mm以下、どうしても必要な場合でも20mm以内を一つの目安としています。
元気な犬なら、少しの段差は問題なく越えるかもしれません。
しかし住宅は長く暮らす場所です。
犬が年を取り、足腰が弱くなったときや、けがをしたときにも移動できるかを考える必要があります。
またペット共棲住宅の展示場では、段差解消のためにシューズクローゼットをスロープとして活用しています。
このような工夫はカートを使っていても便利になるので、注目をしていただきたい点になります。
5-6. 床付近の風
床付近の気流は0.2m/s以下を目安としています。
人の顔付近では風を感じなくても、床付近には冷たい空気が流れている場合があります。
特に窓際では、冷えたガラスの近くで空気が冷やされ、床へ流れ落ちるコールドドラフトが起こることがあります。
またエアコンの風が犬の寝床へ、直接当たっている場合もあります。
実際に展示場に行ったら、犬が特定の場所を避ける。
伏せてもすぐに移動する。
部屋の隅や家具の陰ばかり選ぶ。
このような行動がある場合は、温度だけでなく風も確認します。

6. 一度の見学だけでは判断できない
犬の反応を住宅選びの参考にする場合、一度の見学だけで判断しないことが大切です。
初めての場所では、普段とは違う行動を取る犬もいます。
いつもは活発な犬が飼い主のそばから動かない。
反対に、普段は落ち着いている犬が室内を歩き続ける。そのようなこともあります。
モデルハウスには、
- 知らない人
- 知らないにおい
- 以前来場した犬のにおい
- 普段と違う床
- 外の車や人の音
- 見慣れない家具
など、犬にとって多くの刺激があります。
そのため、一度の見学だけで、
「この家は合わない」
「この床は苦手だ」
「この部屋は暑い」
「この間取りでは落ち着けない」
と決める必要はありません。
可能であれば、少し長く滞在して様子を見る。
別の日にもう一度訪れる。
最初より犬が慣れた状態で、歩き方や休む場所を確認します。
一度目は飼い主のそばから動かなかった犬が、二度目には室内を歩き始めるかもしれません。
三度目には、自分から休む場所を選ぶことも考えられます。
また見学する時間帯を変えると、日差し、室温、外の音、人通りなども変わります。
犬の反応を住宅選びの判断材料にするなら、初めての場所への緊張と、住宅そのものへの反応を分けて考える必要があります。
7. 犬のための宿泊体験
短時間の見学では、犬が緊張したまま終わることがあります。
知らない人がいる。
普段とは違うにおいがする。
このような状況では、犬が住宅そのものにどう反応しているのか分かりにくい場合があります。
宿泊体験では、見学時よりも暮らしに近い状態で住宅を確認できます。
7-1. 知らない人がいない状態で過ごせる
通常のモデルハウス見学では、住宅会社の担当者が一緒に室内を回ります。
人が好きな犬なら気にならないかもしれませんが、知らない人が苦手な犬の場合、担当者の存在そのものが刺激になります。
宿泊体験では、説明が終わった後は家族と犬だけで過ごせます。
知らない人がいなくなった後に、犬がどのように動き始めるかを見ることで、見学中の緊張と住宅環境への反応を分けて考えやすくなります。
7-2. 犬が自分で寝床を選ぶ
数十分の見学では、犬が落ち着いて眠るところまで確認できないことがあります。
宿泊すると、時間の経過とともに犬が休む場所を探し始めます。
もしかしたら人が「ここが犬用ベッドに最適」と考えた場所と、犬が自分で選ぶ場所が同じとは限りません。
犬がどこで長く休むかを見ることで、寝床やケージを置く場所を考える参考になります。
また使い慣れた寝床を持っていくことは、リラックスのために野島建設でも推奨しています。
7-3. 音や明るさを確認する
ずっと説明をしていると気にならなかった音が、誰もいないと目立つことがあります。
車の走行音、近隣の生活音、換気設備の運転音、冷蔵庫や給湯設備の音などです。
また夜間に照明を落とすことで、廊下や段差、トイレまでの動線がどの程度見えるかも確認できます。
特に老犬になった場合は、暗い場所や急な明暗差が移動の負担になる可能性があります。
犬が夜中に起きたとき、迷わず水やトイレへ行けるか。
家具や段差へぶつからないか。
人が動くたびに目を覚まさないか。
このようなことは、昼間の見学だけでは想像するしかないので、宿泊体験をする方が見えてくることは増えるはずです。
犬は言葉で好き嫌いを伝えられません。
だからこそ一緒に泊まり、時間をかけて過ごすことで、その家で本当に落ち着けるか、喜んで過ごせるかを愛犬の姿から確かめられます。

8. 富山で犬と歩いて見学できるモデルハウス
野島建設のペット共棲住宅展示場では、犬を抱っこしたまま見学するのではなく、室内を実際に歩いてもらえます。
一度だけでは犬の反応が分からない場合は、必要に応じて複数回見学することもできます。
また見学専用の建物ではなく、実際の暮らしを想定した住宅であるため、愛犬と一緒に宿泊体験もできます。
犬と一緒に見学できる展示場はありますが、犬が自分の足で歩き、さらに宿泊までできるモデルハウスは富山県ではかなり希少で、魚津市には弊社以外無いはずです。
9. 愛犬自身の反応を家選びの参考にする
住宅会社から、床材や温度、換気、動線について説明を受けることは大切です。
しかし、説明や数値だけでは、その家が自分の犬に合っているかまでは分かりません。
実際に犬が歩き、曲がり、止まり、休む場所を選ぶ。
その様子を見ることで、人だけの見学では分からなかった住宅の特徴が見えてくる可能性があります。
一度の反応だけで決める必要はありませんが、愛犬自身の行動も住宅選びの判断材料の一つになります。

10. 犬用の設備とペット住宅ならではの工夫
犬と暮らす住宅では、足洗い場やドッグランなど、分かりやすい犬用設備が注目されます。
これらの設備は便利ですが、設置すれば必ず犬が暮らしやすくなるわけではありません。
犬種、体格、年齢、性格、頭数、散歩の方法、家族の生活動線によって、必要な設備は変わります。
また犬用設備だけでは解決できない、温度、空気、音、掃除、維持管理なども考える必要があります。
10-1. 一般的な犬用住宅設備とは
【足洗い場】
散歩から帰った後に、足や体を洗うための場所です。
玄関の近くや勝手口の近くに設けると、汚れた足で室内を長く歩かずに済みます。
ただし、足洗い場があっても、
- 犬を抱き上げやすい高さか
- 大型犬でも使える広さか
- 冬に水が冷たすぎないか
- 洗った後に体を拭けるか
- タオルやケア用品を収納できるか
- 排水口に毛が詰まりにくいか
まで考えなければ、使いにくくなる可能性があります。
【リードフック】
玄関や足洗い場の近くにリードフックがあると、鍵を開けるときや足を拭くときに犬を一時的につないでおけます。
ただし、犬が急に引っ張った場合も考え、取り付け位置や下地の強度が必要です。
リードが人の足へ絡まない位置か、玄関ドアを開けたときに犬が外へ飛び出さない位置かも確認します。
【脱走防止ゲート】
玄関や勝手口の内側に、脱走防止ゲートを設ける方法があります。
犬が玄関まで走ってくる家庭では、ドアを開ける前にもう一つ境界をつくることで、飛び出しのリスクを減らせます。
ただし犬種にもよりますが、ゲートが低すぎると飛び越える犬もいます。
家族が日常的に通る場所なので、開け閉めが面倒になり、使わなくならないことも重要です。
【犬用トイレスペース】
犬用トイレは、空いている場所へ置けばよいとは限りません。
食事場所に近すぎないか、人が頻繁に通らないか、掃除しやすいか、換気しやすいかを考えます。
トイレシートや掃除用品を近くに収納できると、粗相があったときにも早く対応できます。
【犬用品の収納】
フード、トイレシート、タオル、散歩用品、薬、ケア用品など、犬と暮らすと収納するものが増えます。
フードは犬が勝手に開けられない場所へ置き、リードや散歩用品は玄関近くにまとめるなど、使う場所の近くへ収納を配置します。
犬の誤飲を防ぐため、扉やロックのついた収納が必要になる場合もあります。
【ドッグランや運動スペース】
庭や室内に、犬が自由に動ける場所を設けることがあります。
ただし、広さだけでなく、
- 外へ飛び出せないか
- フェンスの隙間から抜けないか
- 排泄後に清掃しやすいか
- 近隣へ鳴き声が響かないか
まで確認する必要があります。
【犬用の寝床やケージスペース】
リビングの一角にケージやベッドを置く場合、人の動線と重ならない場所を選びます。
家族の気配は感じられるけれど、人が何度も横を通らない。窓や玄関が正面に見えない。エアコンの風が直接当たらない。
このような条件を考えます。
【ペットドア】
犬が自分で部屋を行き来できるように、建具や壁へペットドアを設ける方法があります。
寝床やトイレ、水飲み場などへ自由に移動しやすくなるのがメリットです。
ただし、犬の体格に合った大きさか、段差が高すぎないか、老犬になっても使いやすいかは確認しておきます。
【ペット用床材】
犬と暮らす住宅では、滑りにくさや傷のつきにくさを考えたペット対応の床材を使うことがあります。
ただし「ペット対応」と書かれていても、すべての犬に合うとは限りません。
犬種や体重、年齢、足腰の状態によって歩きやすさは変わるため、可能であれば実際に犬が歩いた様子まで確認します。
それと、傷の目立ちにくさや掃除のしやすさも見ておきたいポイントです。

10-2. 間取りや住まいの工夫
犬用設備が揃っていても、住宅全体の環境が合っていなければ、犬が快適に過ごせるとは限りません。
例えば立派な犬用スペースがあっても、窓際で外の人や車が見え続ける場所なら、犬が落ち着かない可能性があります。
そのため犬用設備とは別に、次のような住宅全体の設計も必要になってきます。
- 部屋間の温度差
- 床付近の暑さや寒さ
- エアコンの直風
- 外から入る音や視線
- 人と犬の動線
- 掃除や修理のしやすさ
- 老犬になったときの移動
この辺りは住まわれる人や犬によって異なるので、設計士のヒアリング能力の腕の見せ泥ではないかと思います。
10-3. 粗相時の対応可能な巾木
犬が室内で粗相をした場合、床の表面を拭くだけでは汚れを取り切れないことがあります。
尿が床と巾木の隙間へ入り込むと、表面から見えなくても、においや汚れが残る可能性があります。
一般的な巾木は、接着剤や釘で固定されているため、簡単には外せません。
野島建設のペット共棲住宅では、万が一のときに外して掃除できる巾木を採用しています。
汚れが入り込んだ場合は、
1. 巾木を外す
2. 奥まで清掃する
3. 乾燥させる
4. 巾木を元へ戻す
という対応ができます。
犬用の設備というより、犬と暮らした後の清掃や維持管理を考えた住宅部材です。
掃除しやすい床材だけでなく、汚れが入り込んだ先まで清掃できるかを考えることも重要です。

10-4. AIR LOOP SYSTEMで床付近の環境を安定させる
犬は人より床に近い場所で長い時間を過ごします。
そのため人が立っている高さでは快適でも、床付近に冷たい空気が流れていたり、温度差があったりする場合があります。
野島建設のAIR LOOP SYSTEMでは、普段人が過ごす部屋だけでなく、床下や壁の中まで空気を動かします。
犬専用の空調設備を追加するのではなく、住宅全体の温熱環境を整えることで、人にも犬にも負担の少ない環境を提供しています。
また犬が特定の暖かい場所や冷たい場所へ集中しなくてもよいように、家の中で過ごせる場所の選択肢を増やすことにもつながります。
10-5. 24時間換気の仕組み
犬と暮らす住宅では、におい対策として換気も注目したい点です。
しかし換気の目的は、においを外へ出すことだけではありません。
室内では、様々なハウスダストなどが発生します。
ペット共棲住宅では、24時間換気は床排気を採用しています。
これにより臭いがたまりやすい床面を積極的に排気をし、日々の臭い対策が可能になります。
しかしフィルターが目図まりしやすいので、日々のお手入れは増えますのでその点は注意が必要です。
10-6. 老犬時のことまで考える
犬用住宅は現在の犬に合わせるだけでなく、老犬になったときまで考える必要があります。
これは獣医師でもある、増田先生から頂いた内容です。
家族の尊厳を守るために、家ができることをペット共棲住宅では詰め込んでいます。
- 小さな段差
- 滑りやすい床
- トイレまでの距離
- 寝床と水飲み場の位置
- 温度差
このようなことをしっかりと考え、足腰が弱くなった場合を想定しています。
そのためスロープや巾木など、細かな工夫を積み重ねています。
ペット共棲住宅の基準は、元気な犬猫だけでなく、老犬、老猫でも快適に過ごせることを基本の考え方としています。
11. まとめ・動物が苦手な自分がペット住宅を建てた理由
最後になりましたが、自分はもともと、犬や猫が得意なわけではありません。
むしろ近くに来られると、身構えてしまうくらいです。
それでもペット住宅を考えるようになったのは、住宅会社として家をつくる以上、その家で毎日を過ごすのは人だけではないと思ったからです。
そして家族の幸せにつながることが自分の仕事です。
そのためその幸せに向き合う必要があると思い、様々な勉強をし、実際に犬と歩ける展示場まで建ててしまいました。
犬や猫は、床が滑る、暑い、寒い、音が気になる、空気が合わないといったことを言葉で伝えられません。
そして自分も動物が苦手だから、温度、湿度、音、床、空気などを客観的な数値で確認し用と思ったわけです。
そしてできることなら、実際の犬自身に歩いてもらえば間違いない、宿泊体験してもらえば間違いないと考えました。
このような少々変わった理由で、犬と一緒に歩けるモデルハウスハウスが完成しました。
もし弊社の常設展示場が、ご家族様の幸せに少しでもつながればこれ以上の幸せはありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
11-1. 執筆者プロフィール
野島建設株式会社 代表取締役社長 野島比呂司
一級建築士 宅地建物取引士 増改築相談員
富山県出身 近畿大学理工学部建築学科卒
地元のハウスメーカーに就職後、2007年野島建設に入社。
会社の2代目として仕事をするだけでなく、自分でも会社を創業。野島建設として1000棟を超える施工実績があり、富山県の市町村単位では複数回の着工数1位の獲得経験あり。
2024年の能登の震災による仮設住宅建設にも尽力。その際に人と愛玩動物とのかかわりについて考え、ペット共棲住宅の重要性を実感。
投稿日 2026年8月22日
~温かい人が集まる暖かい家 NOJIMAのゼロ・ハウス~
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