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キャットウォークで後悔しないために 猫が使わない原因と対策を一級建築士が解説

キャットウォークは猫にとって楽しい場所になる一方で、設置後に後悔することもあります。

よくあるのは、

・猫が使ってくれない
・高すぎて危ない
・掃除がしにくい
・後から高さを変えられない
・多頭飼いで逃げ場がなくなる

といった問題です。

 

この記事ではキャットウォークで後悔しないために、設置前に見ておきたいポイントを一級建築士の視点で解説します。

 

1. 「映え」より設計が大事

キャットウォークは、写真で見るととても魅力的です。

壁にステップがあり、猫が高い場所を自由に歩いている。
リビングや吹き抜けの上を猫が移動している。

このような姿は、猫と暮らす家らしく見えます。

 

ただし、実際の住まいでは「見た目」よりも「使いやすさ」が大切です。

キャットウォークで考えたいのは、上がる・歩く・休む・降りる・掃除するまでの流れです。

特に大事なのは、上がる場所と降りる場所です。

高い場所に板を付けても、そこまで行きにくかったり、降りるときに不安があったりすると、猫が使わないことがあります。

 

また若い猫のうちは使えても、年齢を重ねると負担になることもあります。

キャットウォークは、猫の遊び場であると同時に、住まいの動線の一部です。

だからこそキャットウォークをつけたことで満足をするのではなく、猫が安全に使えて、人も管理しやすい設計になっているかを先に考えたいところです。

キャットウォークの失敗談

2. キャットウォークでよくある後悔

キャットウォークでよくある後悔は、大きく分けると次の4つです。

2-1. 猫が使ってくれない

一番多い後悔は、設置したのに猫が使ってくれないことです。

猫は高い場所が好きですが、どんな高い場所でも使うわけではありません。

・普段の通り道から外れている
・上がりにくい
・降りにくい
・落ち着けない
・家族の気配を感じにくい

こうした場所だと、キャットウォークを作っても使わないことがあります。

大事なのは自分たちの目線でうれしい場所ではなく、猫が自然に行きたくなる場所に設置することです。

2-2. 高すぎて危ない

キャットウォークは高い位置に設置することが多いですが、高ければよいわけではありません。

特に注意したいのは、落下や着地の負担です。

若い猫のうちは問題なくても、年齢を重ねるとジャンプ力や足腰の状態は変わります。

・滑る
・踏み外す
・着地で負担がかかる
・降りるのを怖がる

このようなことも考えられます。

吹き抜けや階段まわりに設置する場合は、特に高さと落下リスクを考えておきたいところです。

2-3. 掃除がしにくい

キャットウォークは、どうしても猫の毛やホコリがたまりやすい場所です。

そのため、掃除のしやすさも重要です。

・高すぎて手が届かない
・モップが入りにくい
・奥行きが深すぎる
・角に毛がたまりやすい
・素材が拭きにくい

こうなると、掃除が面倒になりやすいです。

猫のために作った場所でも、人が維持できなければ長く使いにくくなります。

2-4. 後から高さを変えられない

猫は年齢によって動き方が変わります。

若い頃は問題なく使えていた高さでも、老猫になると負担になることがあります。

そのときに高さなどの付け替えが容易でないと、対応が難しくなります。

もちろん、可変性を優先しすぎて強度が不足してはいけません。

キャットウォークは、設置した瞬間だけでなく、猫の年齢や暮らしの変化に合わせて考える設備です。

 

3. 猫が使いやすいキャットウォークの考え方

キャットウォークを考えるときは、まず猫の動線を見ることが大切です。

猫が普段どこを歩いているか。
どこで休んでいるか。
どの窓の近くに行きたがるか。
家族との距離をどう取っているか。

こうした行動を見ないまま設置すると、人にとっては良い場所でも、猫にとっては使いにくい場所になることがあります。

3-1. 上がる場所を考える

キャットウォークは、上にある板だけを考えても不十分です。

まず大切なのは、どうやって上がるかです。

床から急に高い位置へ飛び上がる必要があると、猫によっては使いにくくなります。

ソファや棚、キャットステップなどを使って、自然に上がれるルートを考えておくと使いやすくなります。

3-2. 歩く場所を考える

キャットウォークは、ただ長ければよいわけではありません。

猫が安心して歩ける幅があるか。
途中で方向転換できるか。
休める場所があるか。
行き止まりになっていないか。

このあたりを確認したいところです。

特に、細い板が続くだけのキャットウォークは、見た目はすっきりしていても、猫によっては不安定に感じることがあります。

3-3. 降りる場所を考える

上がれることと同じくらい大事なのが、降りられることです。

高い場所に行けても、降りるときに怖いと使わなくなることがあります。

特に着地になる場所は、床が滑らないかを確認する必要があります。

キャットウォークは、上がる・歩く・降りるまでをセットで考えることが大切です。

 

キャットウォークの基本概念

4. 猫が使いやすいキャットウォークの寸法

キャットウォークでは、高さや奥行き、ステップの間隔も重要です。

ただし、すべての猫に共通する正解があるわけではありません。

猫の年齢、体格、運動能力、性格によって使いやすさは変わります。

4-1. 高さは「高ければよい」ではない

昔、狩猟をしていた時の名残で、猫は高い場所を好むと言われます。

ただし、家の中のキャットウォークでは、高ければ高いほど良いとは限りません。

たとえば床から2m以上の高さに設置すると、猫にとっては見晴らしの良い場所になります。

一方で、落下したときの危険も大きくなります。

また、若い猫であれば問題なく上り下りできても、老猫になると同じ高さが負担になることもあります。

 

天井に近すぎる場所も注意が必要です。

あわせてどこか別のもの(照明とかエアコンとか)に乗り移らないかも確認する必要があります。

高さを決めるときは今の運動能力だけではなく、将来の使いやすさも考えておくことが大切です。

4-2. 奥行きは安心感に関わる

キャットウォークの奥行きが浅すぎると、猫が安心して歩きにくくなります。

目安として、歩くだけの場所でも奥行きは20cm前後は必要です。
もちろん方向転換したり、座ったり、休んだりする場所では、もう少し余裕が必要です。

 

休憩場所として使うなら、奥行き25〜30cm程度あると、猫が体を預けやすくなります。

一方で、奥行きが深すぎると掃除がしにくくなることがあります。

特に高い場所に奥行きの深い棚を作ると、奥まで手が届きにくく、毛やホコリがたまりやすくなります。

 

猫が安心して使えること。
人が無理なく掃除できること。

この両方を考えて奥行きを決めることが大切です。

4-3. ステップ間隔は猫に合わせる

ステップの間隔が遠すぎると、猫が飛び移るときに負担がかかります。

目安として、ステップ同士の高さの差は15〜30cm程度に抑えると考えやすいです。

若くて運動が得意な猫なら、もう少し大きな段差でも使えることがあります。

しかし、子猫、老猫、足腰が弱い猫、運動が苦手な猫の場合は、段差を小さめにした方が安心です。

 

また、ステップのサイズも大切です。

目安としては、幅・奥行きともに15〜20cm以上。
体の大きな猫や、着地場所として使うステップなら、20〜25cm程度あると安心感が出やすくなります。

着地する場所が小さいと、踏み外しやすくなる可能性があります。

 

そして当然滑りにくい素材を使ってあげる必要があります。

多頭飼いのためのすれ違いに関しては、7章に記載があるのでそちらをご覧ください。

 

キャットウォークの寸法を一級建築士が解説

猫が使いやすいキャットウォークの寸法

5. 強度不足にならないために

キャットウォークは、猫の全体重がかかるだけでなく、飛び降りたときなどはかなりの重さをさせる必要があります。

そのため、強度の確認はとても重要です。

見た目がきれいでも、しっかり固定されていなければ危険です。

5-1. 壁に下地があるかの確認

キャットウォークを壁に取り付ける場合、どこにでも付けられるわけではありません。

多くの木造住宅の場合は、壁の中に下地があります。

しかしその位置をちゃんと確認するためには、専用の道具等が必要です。

そして適切な場所であっても、適切な長さのビスなどを使わないと、強度不足になります。

石膏ボード用の固定金具もありますが、外した後の穴は大きいですし、ずっと使っていると弱ってきて棚の強度が不足する場合もあります。

5-2. 可変性と強度のバランスを見る

高さを変えられるキャットウォークは便利です。

猫の年齢や好みに合わせて調整できるからです。

ただし、動かせることを優先しすぎて、強度が不安定になるのは避けたいところです。

 

それと外した後の補修が楽な方法を、初めのキャットウォークを取り付ける際に考えておきたいものです。

何も考えず取り付けをすると、外した後大きな穴が残ったりする場合がありますので、最初から外すことを前提にしておいた方がいいでしょう。

 

それと可変性は大事ですが、それ以上に大事なのは安全です。

強度を確保したうえで、必要に応じて調整できる仕組みを考えるのが理想です。

6. 掃除しやすい工夫

キャットウォークは、設置して終わりではありません。

毎日の暮らしの中で、毛やホコリがたまります。

しかも頭より高いところにあるので、部屋中を舞ってしまいます。

だからこそ、手軽に掃除しやすいかどうかはかなり重要です。

6-1. 奥行きのバランスを見る

最近は高い場所専用のモップが売られています。

そのため高い場所を掃除するためには、その専用道具だけで掃除が済むようにあらかじめ考えておくとよいでしょう。

しかし猫が歩きにくい奥行きになっては本末転倒なので、そのあたりも含めて奥行きを考えたいものです。

6-2. 素材は拭きやすさも見る

キャットウォークの素材は、滑りにくさも大切です。

ただし掃除しにくい素材だと、毛や汚れが残りやすくなります。

猫が歩きやすいこと。
人が拭きやすいこと。
長く清潔に保ちやすいこと。

猫が使いやすいことと、人が掃除しやすいことはセットで考えたいところです。

 

この辺りは使う予定の掃除道具や、猫が動いた時に問題がないかをあらかじめ確認しておくことが望ましいといえます。

7. 多頭飼いでの注意点

多頭飼いの場合、1匹なら問題ない動線でもストレスになることがあります。

複数の猫が同じキャットウォークを使うと、すれ違いや逃げ道の確保が必須になります。

7-1. 行き止まりを避ける

キャットウォークが行き止まりばかりだと、猫同士が鉢合わせしたときに逃げ場がなくなります。

序列の低い猫や気の弱い猫にとっては、逃げられない場所がストレスになることがあります。

行き止まりを作りすぎないことは、多頭飼いでは特に大切です。

7-2. すれ違うための工夫

多頭飼いでは、途中で回避できる場所があると安心です。

少し奥行きの深いペース。
上下に逃げられるルート。
別の場所へ降りられるルート。

こうした工夫があると、猫同士がすれ違いやすくなります。

7-3. くつろげる場所を複数作る

多頭飼いでは休める場所が1か所に絞ってしまうと、取り合いになることがあります。

キャットウォークの途中に、少し広めの休憩場所を複数作ると、猫同士の距離を取りやすくなります。

猫は同じ家で暮らしていても、それぞれ落ち着く距離があります。

その距離感を保てるようにすることも、住まいの設計として大切です。

 

多頭飼いのキャットウォークの注意点

多頭飼いのキャットウォークの設置の注意点

8. DIY・市販品・造作の違い

キャットウォークには、DIY、市販品、造作という選択肢があります。

どれが正解というより、それぞれに向いているケースがあります。

8-1. DIYのメリットと注意点

DIYは費用を抑えやすく、自分の家に合わせて作れることがメリットです。

一方で、強度や固定方法には注意が必要です。

特に壁付けの場合は、下地の確認が重要になります。

ちゃんとした準備をせずに取り付けた場合、十分な強度があるように見えてちゃんと固定できていない場合もあります。

そうなると猫が飛び乗ったときにぐらついたり、外れたりする危険があります。

DIYで作る場合は、知識を付けたうえで、安全を最優先に考えたいところです。

8-2. 市販品のメリットと注意点

市販品は、比較的導入しやすいことがメリットです。

置き型のキャットタワーや、壁に取り付けるキャットステップなど、選択肢も多くあります。

 

ただし、家の間取りや猫の動線にぴったり合うとは限りません。

置きたい場所に置けない。
置いてもグラつく。
部屋の動線を邪魔する。
掃除しにくい。

こうしたこともあります。

市販品を選ぶ場合も、猫の動線と人の暮らしに合っているかを確認したいところです。

8-3. 造作のメリットと注意点

造作キャットウォークは、家に合わせて計画できることが大きなメリットです。

壁の下地、窓の位置、家具の配置、掃除のしやすさまで好みに合わせることが可能です。

ただし、後から簡単に変えにくい場合もあります。

特に費用面で最も高いのが造作なので、最初の計画が大切です。

 

ちなみに野島建設でも、オーダーメイドの造作キャットウォークを製作しています。

棚一枚から、LDKのいたるところにキャットウォークを付けたこともあります。

詳しくは弊社の担当者にご確認ください。

9. 家を改修する際の注意点

キャットウォークは、後から設置することもできます。

ただ新築やリフォームのタイミングなら、下地・窓・家具・掃除動線まで一緒に考えられます。

ここではそれらについて、まとめてお話をしておきたいと思います。

9-1. 壁の下地を先に入れられる

新築やリフォームでは、あらかじめ壁の中に下地を入れておくことができます。

下地があれば、キャットウォークやステップをしっかり固定しやすくなります。

将来的に設置する可能性がある場合でも、下地だけ先に準備しておくという考え方もあります。

特にあらかじめ準備をするのは、費用がほとんどかからないので、将来的な備えで迷っているなら下地の設置をすることをお勧めします。

9-2. 照明なども併せて考える

キャットウォークは、壁だけで考えるものではありません。

キャットウォークの途中に見えるもの、それら全てに猫は飛び乗ろうと試みることがあります。

人間からすると「そんなところ飛び乗る?」と言いたくなるような場所にも、果敢に飛び乗っていきます。

 

それらの最たるものが照明です。

ブラケット照明と呼ばれる壁付けの照明に、飛び乗ろうとすることもあります。

普段なら届かないのですが、キャットウォークができたがゆえに動線が確保できてしまった。

そんな時に問題にならないような配慮が必要です。

 

照明以外では、エアコンの上部に飛び乗ろうとしたり、アウトセット引戸のレールの上に飛び乗ろうとすることもあります。

このような場所に飛び乗る可能性がないか、あらかじめ確認しておくことが求められます。

もちろん持参される家具も動線の一部になることもあるので、それらを含めて考える必要があります。

9-3. 人の暮らしを邪魔しないことも大切

キャットウォークは猫のための設備ですが、人の暮らしを邪魔しないことも大切です。

最もわかりやすいのは、体をぶつけてしまうような取り付けです。

中途半端な高さで、頭に当たる。

見えにくい低さで、脛で蹴る。

 

それ以外には、照明の真下につけて暗がりを作ってしまうとか、キッチンに入れない間取りになっているのに上から降りたら入れるようになってしまうとか。

このようなことにならないよう、パースなどを使って問題がないかをあらかじめ確認すると良いでしょう。

キャットウォークの改修前のチェックリスト

10. まとめ

キャットウォークがある生活は、猫にとって楽しい可能性があります。

ただししっかり考えずに設置すると、後悔につながることもあります。

 

大切なのは、

・猫が使いやすい場所か
・安全に上り下りできるか
・強度は十分か
・掃除しやすいか
・多頭飼いでも逃げ道があるか
・老猫になっても対応しやすいか

といった点です。

 

キャットウォークは、単なる猫用設備ではありません。猫の動線であり、住まいの一部です。

だからこそ、映えるかどうかだけでなく、猫が安全に使えて、人も無理なく維持できる設計にすることが大切です。

 

そして本来であればキャットウォークを付けるときは、天井付近と床付近の温度差はない方が望ましいといえます。

エアコン暖房ではそのあたりがどうしても実現しにくいので、野島建設のAIR LOOP SYSTEMのような温度村が発生しにくい住宅は良いといえます。

 

それだけでなく野島建設では猫との暮らしに配慮した住まいづくりや、オリジナルキャットウォークのご相談も承っています。

猫にとっても、人にとっても、長く安心して暮らせる住環境を一緒に考えていければと思います。

今回の文章が、何かしらの参考になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

10-1.執筆者プロフィール

野島建設株式会社 代表取締役社長 野島比呂司
一級建築士 宅地建物取引士 増改築相談員

富山県出身 近畿大学理工学部建築学科卒
地元のハウスメーカーに就職後、2007年野島建設に入社。
会社の2代目として仕事をするだけでなく、自分でも会社を創業。野島建設として1000棟を超える施工実績があり、富山県の市町村単位では複数回の着工数1位の獲得経験あり。
2024年の能登の震災による仮設住宅建設にも尽力。その際に人と愛玩動物とのかかわりについて考え、ペット共棲住宅の重要性を実感。

 

投稿日 2026年6月13日

 

~温かい人が集まる暖かい家 NOJIMAのゼロ・ハウス~
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