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意外と簡単 犬の鳴き声 壁より窓 犬の鳴き声が響く家・響かない家の違い

犬の鳴き声が響くかどうかは、「家のつくりそのもの」が大きく影響します。

・壁や天井の厚さや素材
・断熱材の種類
・窓の形状
・間取り
・吹き抜けや階段の位置
・床材の硬さ

こうした住宅の構造・素材・形状が、音の届き方に直結します。

 

私は犬の専門家ではありませんが、建築のプロとして、
・なぜ鳴き声が響くのか
・どんな家が響きにくいのか
を家の性能という視点から説明できます。

しつけだけでは解決できない部分こそ、家づくりや住環境の工夫で改善を図ってみたいものです。

 

1.犬の鳴き声はどのくらい響く?

犬の鳴き声は、人が思っている以上に抜けやすい音です。
まずはその特徴を建築視点で整理します。

1-1.鳴き声の周波数

犬の「ワン!」という鳴き声は2,000〜10,000Hzの人間の話し声より高めの周波数が多く含まれます。

住宅にとっての高い音の特徴として、

  • 吸音材で減衰しやすい
  • すき間をすり抜けやすい

という特徴があります。

つまり犬の鳴き声対策は、いかに吸音するもの(フワフワしたもの)を使い、すき間を作らない(気密性が高い)住宅であることが重要といえます。

1-2.室内での反響

室内では壁・床・天井の素材によって音が反射され、膨らんで聞こえる現象が起こります。

特に反響しやすい空間は、大きな空間です。住宅でいえば

  • 吹き抜け
  • リビング階段
  • 天井が高い部屋

等があります。

逆に反響を抑えやすい空間としては、繊維質のものの設置が有効です。住宅なら

  • カーテン
  • ソファ
  • ラグ

このようなものが、音の反響を防いでくれます。

つまり犬の鳴き声の響きやすさは、家の音の跳ね返りやすさで大きく変わります。

2.音の2種類|空気音と固体音

あまり知られていない事ですが、音には大きく2種類があります。

1.空気を伝わって入ってくる音(空気伝播音)
2.建物のもの(固体)を通って伝わる音(固体伝播音)

この考え方で犬の鳴き声について解説をしていきます。

2-1.空気を伝わる音(空気伝播音)

空気を伝わる音の代表は、話し声になります。

自分たちが声を出すときは、声帯を使って空気を振動させ、それが相手の鼓膜に届き、それが振動することで音と認知をします。

 

これを住宅の中に置き換えるなら、気密が重要になります。

気密(C値)は「屋外と室内の空気の面積」と考えればよく、この数字が多いと音が漏れやすい家といます。

具体的な例でいれば、壁・窓・換気口など、見えないすき間が外気と接していて、これが音漏れの原因と深くつながっていきます。

このような空気を伝わる音を外に伝播させないようにするには、密閉性・吸音材の有無等が重要です。

2-2.壁や床を伝わる音(固体伝播音)

壁や床の物質から伝わる音の代表は、大きな車の振動音や心臓の鼓動です。

最近なら骨伝導のスピーカーもこれになります。

住宅の中では、歩く音が最もこれに該当します。

 

これを軽減するには、床や壁を重たくする方法があります。

ただし固体音は空気音より防ぎにくい点が難点です。

 

2-3.犬の鳴き声はどちらが強い?

犬の鳴き声は「空気音がメイン」です。

理由は人の話し声と同じで、声帯を使っていて空気を振動させるためです。

ただ人間の声と異なる部分としては、声の音域が高くて「すき間を通過しやすい」特徴があります。

ただし低い鳴き声(唸り声)は、固体音となって壁や床を伝わることがあります。

低い声は物質そのものを揺らして、外に漏れる時があります。

 

そのため基本的には、高音域の部分をケアすれば住宅における鳴き声問題は軽減できるといえます。

しかし低音域まで軽減したい時は、さらに住宅に手を加える必要が出てきます。

3.鳴き声が漏れやすい家の特徴

犬の鳴き声対策は住宅性能もありますし、どのように生活をしているかも大きなポイントです。

この状況を少しでも改善することができれば、音漏れがしにくい家が完成します。

それでは実際に音漏れしやすい家に共通するポイントを解説します。

3-1.すき間が多い

犬の鳴き声は、わずかなすき間でも簡単に抜けるためすき間のケアが重要です。

古い家の場合は、今ほど気密性が高くないので、音は漏れやすいと言えます。

具体的な場所でいえば、引き違い窓や換気扇です。

極端な場合では、家の中から外が見えるような場合も見受けられます。

このような場合は、どうしても音が漏れやすいと言えます。

丸見えの古いタイプの換気扇

3-2.反響しやすい間取り

間取りによっては音が跳ね返りやすく、その結果うるさくなってしまう場合があります。

住宅でいえば大空間の部屋になり、吹抜けなどはその代表例です。

これらは音の反射が増えるため、犬の鳴き声が「大きく聞こえる」空間になってしまいます。

3-3.窓の形状

先ほどのすき間の話でもお伝えをしたように、窓は音漏れの大きな原因の一つです。

ここでお伝えをしたいのは、形状(開き方)とガラスの枚数の2つです。

最近は様々な開き方をする窓があります。

しかし開き方によっては、すき間が生じやすい窓(気密性の保ちにくい窓)もあればそうでない窓(気密性を確保しやすい窓)もあります。

すき間が生じやすい窓は引き違い窓になり、そうでない窓は滑り出し窓が一般的です。

気密性を高めたい北海道などでは、引き違い窓は使われていないと聞いたこともあります。

 

次にガラスの枚数ですが、これは多ければ多いほどいいと言えます。

理由はガラスの質量分音をカットしてくれるからです。

そのため、単板ガラスよりペアガラスの方が音をカットしてくれます。

また内窓を付けたりして、二重サッシにしても効果はアップします。

 

ちなみに樹脂サッシやアルミサッシなどは、断熱性能に大きな影響を及ぼしますが、音の面ではあまり大きな差はないと言えます。

玄関の引き違い戸は隙間が多い

4.鳴き声が漏れにくい家の特徴

鳴き声が漏れにくい家は、先ほど解説をした良くない点を改善する必要が先決です。

それをしたうえで、下記の様な事をするとさらに鳴き声が軽減します。

音は遮音(音をはね返す)と、吸音(音を消す)という考え方があり、それらについて解説をしていきます。

遮音と吸音をセットで考える事で、効果的な音漏れ対策が可能になります。

4-1.音をはね返す(遮音)

音は遮音(音をはね返す)と、吸音(音を消す)という考え方があります。

遮音は簡単に言えば、音をはね返すイメージです。

言い換えるなら残響しやすい空間を創り出してくれますが、外には音が漏れません。

 

遮音はどちらかと言えば、低音域の音漏れによく使用されます。

住宅でいえば質量の重いものになり、鉛の入ったゴムマットや、分厚い石膏ボードなどを施工することで遮音性はアップします。

しかしあまりにも重量が重いと家が重たくなるので、適度なところでやめておきたいところになります。

4-2.音を消す(吸音)

吸音は簡単に言えば、音がすき間に入り込んで出られなくなる感じです。

イメージとしては、音が無くなってしまう感じといえます。

こちらは高音域の音漏れによく使用されます。

 4-2-1.繊維系断熱材

吸音材は羽毛布団のようなもので、フワフワしたものになります。

実は繊維系断熱材と同じような見た目をしており、繊維系断熱材でもある程度の効果が見込めます。

そのため音を少しで減らしたい時は、吸音材を使う事も良いですが、繊維系断熱材を使用するのもアリといえます。

 

繊維系断熱材と聞いてもイメージしにくいと思いますが、

・グラスウール

・ロックウール

・羊毛

・セルロースファイバー

等がこれらに該当します。

断熱性能も上がりますし、断熱材の中では安価な部類の商品です。

上手く使用することで、音の問題を軽減することが可能です。

 4-2-2.発砲系断熱材

繊維系断熱材は吸音の効果がありましたが、発砲系断熱材はその効果は弱くなります。

しかし気密性を高める効果があるので、音漏れしにくい家を造るのに適しています。

 

この効果が見込めるのは、現場施工の発砲系断熱材(現場で吹き付ける断熱材)になり、押し出し型と呼ばれる工場で作られている断熱材ではありません。

4-3.反響を抑える簡単な方法

反響を押さえるには、学校の音楽室にあったようなベニヤ板に穴が開いたようなものをイメージするかもしれません。

それはそれで効果があるのですが、もっと身近な反響を押さえる方法として、ものを置くという方法があります。

 

室内に物を置くことは、遮音と吸音のどちらの効果もあります。

例えば重たいものでテレビや本があります。

これらは音をはね返す一助になります。

 

また吸音してくれるものでえば、カーテンやソファ、ベッドやラグなど多くのものが音を吸収してくれます。

特にカーテンなどは音漏れがしやすい窓付近に設置をするので、カーテンなどを設置するのは効果的といえます。

 

以上のように何も置いていない部屋から見れば、何かを置いてある部屋の方が反響しにくく音漏れしにくい部屋といえます。

そして音漏れがしやすい場所(窓付近等)になるべく近い所に物を配置した方が、さらに効果的といえそうです。

ソファなどは音を吸収してくれる効果もあります

5.建築での鳴き声対策

ここでは音のストレスを根本から減らすことができる、建築的なアプローチついて解説をしてきます。

5-1.内窓

内窓を付ける人は、多くの場合、断熱性を上げることに主眼が置かれますが、音に関しても効果があります。

具体的には「窓の気密が上がる(すき間を減らす)」事により、音漏れを防ぎます。

もちろん断熱効果も上がりますし、補助金も最近は結構でるものなので、鳴き声対策としては、最優先で考えたい設備の一つです。

5-2.壁の二重化(遮音壁)

これは少々大掛かりですが、壁を二重にすることで遮音が大幅に向上します。

  • 石膏ボードを二重貼り
  • 防振材を入れる
  • 壁の中に吸音材(断熱材)を追加

このようなものをすることにより、音の減衰を図ります。

寝室とリビングの間などに設置をすると効果的といえます。

5-3.天井材の吸音

天井は見落としがちな音のポイントです。

そして天井の利点としては、日々触れることが無い部分である点です。

音を減衰するときには、柔らかい素材が良いのですが、日々触れるところにこのようなものを設置すると傷がつきやすく見た目も悪くなりやすいです。

その点、天井であれば触る事がほぼないので、使える素材は壁や床よりも多いと言えます。

 

具体的な素材としては、

  • 木質天井
  • 吸音パネル天井材
  • ルーバー天井

等があります。

これらは音の跳ね返りを抑え、室内の反響が大きく減ります。

天井に着いているカラフルなものも吸音材の一つです

5-4.床の衝撃音対策

犬は床面を中心に移動するため、床の音対策は犬の生活と相性が良い分野です。

どちらかといえば、鳴き声よりも振動音(床と爪が触れ合う音等)の方に効果があるものです。

具体的なものとしては、

  • 防音フロア
  • コルクタイル
  • 防音マット(床の下にひくもの)
  • カーペット敷き

カーペットはタイルカーペットにして、取り外しができるタイプにしておけば、掃除もできますし音対策もできるのでおすすめの素材といえます。

6.しつけと環境づくり

これを言うと身もふたもないですが、結局のところ住宅で音対策をしたとしても、劇的な効果は見込めないのも事実です。

何回か防音室(楽器演奏用の住宅で、最も音漏れに効果的と言われるもの)を自分は施工したことがありますが、

・大声が少し大きな話し声

・話し声が30m離れた感じの声

という感じの軽減の印象でした。

当然何もしないよりマシですが、一般的に想像される「防音室」のイメージ(爆音が無音になるイメージ)からは程遠いくらいしか効果はありません。

防音室ですらこれなので、上記に示した例は、もっと軽微なもので効果は薄いものといえます。

 

そうなるとしつけは絶対に必要といます。

もちろん吠えてしまった時の対策として、音漏れしにくい環境を整える事も重要です。

結局のところ、しつけや環境整備、鳴き声対策などを複合的に行う事で、鳴き声の問題は軽減できるといえます。

7.まとめ

犬の鳴き声は、家のつくり・素材・窓・断熱・すき間、これらの影響を強く受けます。

しかし「6.しつけと環境づくり」でもお伝えをしたように、結局は住宅だけでは鳴き声対策を十分にできないのも事実です。

準備万端の方が音のストレスは減ると思うので、やれることはやっておく。これくらいのスタンスの方が、音のストレスに悩まないで良いのかもしれません。

今回の文章が少しでも何かの役に立てば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

7-1.執筆者プロフィール

野島建設株式会社 代表取締役社長 野島比呂司

一級建築士 宅地建物取引士 増改築相談員

 

富山県出身 近畿大学理工学部建築学科卒

地元のハウスメーカーに就職後、2007年野島建設に入社。

会社の2代目として仕事をするだけでなく、自分でも会社を創業。野島建設として1000棟を超える施工実績があり、富山県の市町村単位では複数回の着工数1位の獲得経験あり。

2024年の能登の震災による仮設住宅建設にも尽力。その際に人と愛玩動物とのかかわりについて考え、ペット共棲住宅の重要性を実感。

 

投稿日 2026年1月10日

 

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