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犬のケージ置き場どこが正解? 一級建築士が考えるゲージの設置位置

犬のケージの置き場所は、「リビングが良い」「寝室が良い」などさまざまな意見がありますが、実際には家のつくり(動線・温度環境・換気・日射)によって正解が変わるものです。

私は犬の専門家ではありませんが、住宅設計のプロとして「犬が落ち着きやすい環境」と「人が暮らしやすい間取り」を両立させる視点を持っています。

・風がどう流れるか
・日射がどのように入るか
・家族の動線がどこに集中するか
・温度と湿度がどこで安定しやすいか

こうした 建築ならではの視点 をふまえると、
ケージ置き場は「なんとなくの感覚」ではなく、明確な根拠を持って決めることができるようになります。

この記事では、建築の視点から見たケージの置き場所として安全で快適な環境をわかりやすく解説します。

 

1.ケージ・サークル・クレートの違い

ケージの置き場所を考える前に、まずはそれぞれの役割の違いを理解しておくことが大切です。
ここでは一般的な定義を、自分が調べた感じでまとめてみました。

1-1.ケージ|「生活スペース」になる囲いタイプ

ケージは金属や樹脂などで囲まれた箱型のスペースで、
犬が過ごす「小さな部屋」のようなものです。

  • 中で立つ・座る・寝るが可能
  • トイレと寝床を分けやすい
  • 留守番や夜の就寝にも使いやすい
  • 扉があり、出入りを管理しやすい

家の中で一定時間滞在することを前提にした「生活空間」のイメージです。

1-2.サークル|「行動範囲を区切る」囲いスペース

サークルは囲い自体が低く、
スペースの広さを調整しやすいタイプです。

  • 部屋の一角を区切るイメージ
  • ケージより広めのスペースを確保できる
  • トイレやベッドを自由に配置できる
  • 子犬期のいたずら防止にも向いている

「部屋の中に小さな安全エリアを作る」イメージです。

1-3.クレート|「安心できる個室」箱型タイプ

クレートは持ち運びできる箱型で、
犬が安心してこもれる自分だけの個室のような存在です。

  • 体が丸まる程度のコンパクトなサイズ
  • 移動・通院・災害時の避難で使う
  • 寝床として落ち着く犬も多い

ケージよりさらに「狭くて落ち着く」ことを目的としています。

 

これは今後別のページで記載をしますが、できることなら普段からクレートで休む癖をつけておいた方が無難です。

クレートに入らない生活をしていると、イザという時に入ってくれないそうです。

災害時にクレートに入ってくれないと、それが致命傷になる場合すらあります。

その点を踏まえ、クレートをうまく使用することが家族の安全を守る事に繋がると言えます。

2.ケージが必要な理由

私は犬の専門家ではありませんが、住宅設計の視点から見ても、ケージは住まいの中で必要性が高いアイテムと認識しています。

その理由は大きく4つあります。

2-1.落ち着ける場所

犬にとってケージは、「ひとりになれる安心のスペース」です。

家の中は人の動き・音・気配が常にありますが、ケージがあることで犬はその刺激から少し離れ、気持ちを落ち着けやすくなります。

建築でいう「小さな個室」のような役割で、過度な視線や物音から身を守れる環境になります。

また安心スペースになるので、飼い主から怒られた時の逃げ場などでも活躍をするイメージです。

2-2.安全確保

住宅の中には、犬にとって危険になりうるものが意外と多くあります。

  • 電気コード
  • 落下物
  • 誤飲しやすい小物
  • キッチンの熱源

ケージがあることで留守番時や家事の最中でも、事故を避けるための安全ゾーンを確保できます。

これは犬以外にも、飼い主も安心ができる空間が確保できるといえます。

2-3.イタズラ防止

特に子犬期に多いのが「イタズラ」と「誤飲」。
これはしつけの領域ですが、建築的にも大きな影響があります。

  • 壁や建具のかじり跡
  • 床材の傷
  • ケーブル、クッションの破損

ケージを使うことで、こうした被害を最小限にし、家を守りつつ犬の行動範囲をコントロールできるようになります。

2-4.来客対応

来客時に犬がケージに慣れているかどうかで、安心感が大きく変わります。

  • 知らない人が来た時
  • 点検・工事で作業員が出入りする時

ケージは犬にとって避難場所になり、人にとってもトラブルを防ぐ手段になり、「安全な待機スペース」の役割を果たします。

3.ケージ置き場に迷う理由

ケージの置き場所に悩むのは、飼い主が優柔不断なのではなく、家の間取りが置き場所に強く影響するからです。

建築の視点で整理すると、迷う理由は次の3つです。

3-1.家族の動線が複雑だから

家の中には「人がよく通る道(動線)」と「犬が過ごしたい場所」があります。
この2つが重なると、犬は落ち着けません。多い例として

  • リビングの中心
  • 玄関からリビングへの通路
  • 階段の付近

どうしてもうるさいイメージがついて回りますので、このような場所はゲージの置き場所としては疑問符が付きます。

 3-2.温度や風の問題

建築の立場で見ると、犬が暮らす場所は体感温度が安定しているかどうかが重要です。

これは犬に限らず、人でも同じだと思います。

しかしよく考えると分かるのですが、家の中は場所によって環境が大きく変わります。

  • 窓際は季節で温度差が激しい(冬寒く夏暑い)
  • エアコン直下は冷風・温風が強く当たる
  • キッチン横はにおいや湿気が多い

このように「犬に不向きな住環境」は、居心地の良さも考える必要があります。

 3-3.家族の気配

犬は完全に隔離されると不安になりますが、逆に人通りが多すぎても落ち着けません。

つまり「近すぎず、遠すぎずの距離感」が必要ですが、そのちょうどいい距離は家ごとに違います。

リビングの広さ・家具配置・キッチンとの距離などが違うため、置き場所に迷いやすいわけです。

ソファにしても、ゲージを背中側にするか、横側にするかでも見え方は変わってきます。

赤ちゃんと同じ目線の低さを考えれば、気配の感じ方をコントロールできるといえます。

 

4.最適なケージ置き場

ケージの正解の位置は家によって変わりますが、建築の視点から見ると共通するポイントがあります。

ここでは犬が落ち着きやすく、環境としても安定する場所を紹介します。

4-1.リビングの端

リビングは家族が多く集まる場所で、犬にとっても安心しやすいエリアです。
ただしりびんぐの中央は人の動きが多く落ち着かないため、端(コーナー)に置く方が良いでしょう。

  • 視界が広く、家族の様子がわかる
  • 動線から外れるので安心できる
  • 背面が壁だと外敵から身を守れる感じがある
  • 家具との組み合わせで犬コーナーを作りやすい

リビングの端は、犬の安心と家のレイアウトの両方を満たしやすい場所です。

4-2.直射日光を避ける

窓辺は明るくて良さそうに見えますが、夏は高温・冬はコールドドラフト(窓が冷えて冷たい風が足元に発生する)など、環境が安定しません。

特に犬は床面が近いため、床付近の温度変化の影響を受けやすいのが特徴です。

  • 西日の強い場所
  • 大きな掃き出し窓の横
  • カーテンの開閉音が多い場所

これらは避け、間接光が入り、日射が直接当たらない位置を選びましょう。

4-3.風が当たらない場所

犬は人よりも風を敏感に感じ、音・匂いも運ばれてストレスを感じやすい傾向があります。
建築の視点でも、風の通り道は温度ムラが大きく不安定です。

風関係で気にしたいことは以下の事になります。

  • エアコンの風
  • 換気扇の吸い込み
  • 窓の近く(コールドドラフト等)

ケージは風の直撃がない・気流が安定したエリアに置くことで、犬が落ち着いて過ごせます。

5.NGなケージ置き場

ケージの置き場所としてやってはいけない位置は、建築的にも犬の暮らし的にも共通した理由があります。
以下は避けたほうが良いエリアです。

5-1.玄関まわり

玄関は

  • 出入りが多い
  • 外気の温度差が激しい
  • 足音や気配が多い

これらの理由から、犬にとって落ち着かない場所です。
防犯上や脱走の観点からも好ましくありません。

5-2.窓際

窓際は「明るくて良さそう」に見えても、温度変化と刺激が一番多い場所です。

夏は強い日射で高温、冬はコールドドラフトや冷輻射で体温を奪うなどデメリットが多いです。

また外からの刺激(音・光・通行人)なども多く、ゆっくり休める場所としては言えません。

特に掃き出し窓の横は、ストレスが増えやすいので注意が必要です。

5-3.人通りの多い場所

廊下や部屋の真ん中など、人が頻繁に通るエリアは、犬が休むには不向きです。

  • 常に動きがある
  • 足音が近い
  • 突然の接触や驚きが起こりやすい

静けさのない場所は落ち着きにくい環境になります。

5-4.エアコン直下

エアコンの風は犬にとって強すぎです。
夏は冷えすぎ、冬は乾燥する原因になります。

体温調整のことを気にしてあげるなら、夏はタイルなどの密度の高いものを床に設置してあげて放熱の一助にする。

冬は暖めすぎない輻射熱暖房(当社ならAIR LOOP SYSTEM)などが適しています。

5-5.キッチンまわり

キッチンは

  • 匂い
  • 調理音
  • 誤飲リスク

など刺激が多く、犬が安心する環境には向きません。

できる限り避けた方が無難です。

6.ケージ周りの工夫アイデア

ケージの置き場が決まったら、周辺の環境を整えるだけで犬も人もさらに快適になります。ここでは、建築の観点から実践しやすい工夫を紹介します。

6-1.造作収納と一体化

ケージを造作家具(棚・収納)と一体化すると、生活感を抑えつつ犬の定位置をつくれるのがメリットです。

  • 棚下にケージを組み込む
  • ケージ上を収納スペースにする
  • 壁面収納と合わせて「犬コーナー」にする

インテリアに馴染み、見た目もスッキリするだけでなく、歩くことなくものを取ることができるので、非常に生活するには便利です。

ゲージほど広くはありませんが、休む場所として下図の様なものは参考になると思います。

リフォームでも使える工務店ならではのゲージ

6-2.掃除面

ケージ周りはどうしても汚れやすいため、床材の選び方が家の快適さを大きく左右します。

また粗相や吐き戻しをした時にすぐそばにいるとは限らないので、長時間液体の汚れが付着してもふき取れる素材にしてあげる事が重要です。

そのような観点で見ると

  • 水拭きしやすいクッションフロア
  • タイル
  • タイルカーペット(カットパイルタイプ)

以上のようなものがオススメといえそうです。

また床の掃除が簡単になると、におい対策にもつながり一石二鳥といえます。

6-3.コンセント・照明

ケージ周りで見落としがちなのが電源と照明の計画です。

  • 空気清浄機
  • ケージ上ライト
  • カメラ(見守り用)
  • 加湿器 or 除湿機

これらを使うことを想定して、近くにコンセントがあると非常に便利です。

またコンセントは粗相対策として、高さを上げてみたり、フタが設置できるタイプなどを採用したらショートする危険性が減りオススメです。

 

6-4.換気の位置

犬は床に近いところで生活するため、床付近の空気環境がそのまま体調に影響します。

建築的に考えるポイントは

  • ケージが換気口の吸込みに近すぎないか
  • においがこもりにくい配置か
  • 床排気(1種換気)ならより安定しやすい

換気計画とケージの相性を理解すると、犬が過ごしやすい環境を作れます。

6-5.ゲージの固定(老犬対策)

年齢を重ねていくと、今までと異なる行動をとる事があります。

分かりやすい例として、ゲージを押し始めるなどがあります。

これはゲージが見えていないとか様々な要因から起きる現象ではありますが、決して人間側から見えれば嬉しい事ではありません。

このような対策として、ゲージを固定できる場所があればいいと言えます。

下図を参考にしていただければ幸いです。

7.ワンルームなどの配置

ワンルームでは今までお伝えをしたように、「玄関が近い」「動線が近い」などゲージを設置するには不利な点しかないのが実情です。

そのためなるべく小物をうまく利用して、不利な状況を改善することをお勧めします。例えば

・窓が近く直射日光が入るなら、それを防ぐ板を設置する

・エアコンの風が直接当たるなら、それを防ぐようにエアコンの風の向きを変える

・キッチンが近いなら、カーテンなどを付けて見えない(匂いが行かない)ようにする

等の対策をすると良いと言えそうです。

これらは部屋の配置などで毎回変わってしまうので、皆様の状況に合わせた対策を上記の文章を参考に考えていただけたらと思います。

そしてできることであれば、お引越しまで考えられるといいかもしれません。

 

 

 8.まとめ|ケージ置き場は家づくりの一部

ケージの位置は、「空いている場所に置けばいい」ものではありません。

  • 犬が落ち着けるか
  • 温度や風が安定しているか
  • 家族の動線を妨げないか
  • 日射・換気と相性が良いか

こうした家づくりの基本がそのままケージ置き場に反映されます。

家の間取りや環境を理解したうえで配置すると、犬も人もストレスの少ない暮らしが実現します。

ケージ置き場は住まいの設計の一部として考えるべき重要な要素です。

8-1.執筆者プロフィール

野島建設株式会社 代表取締役社長 野島比呂司

一級建築士 宅地建物取引士 増改築相談員

 

富山県出身 近畿大学理工学部建築学科卒

地元のハウスメーカーに就職後、2007年野島建設に入社。

会社の2代目として仕事をするだけでなく、自分でも会社を創業。野島建設として1000棟を超える施工実績があり、富山県の市町村単位では複数回の着工数1位の獲得経験あり。

2024年の能登の震災による仮設住宅建設にも尽力。その際に人と愛玩動物とのかかわりについて考え、ペット共棲住宅の重要性を実感。

 

投稿日 2025年12月27日

 

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