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スタッフブログ 体感温度とは 熱の三要素(輻射・伝導・対流)徹底解説 究極の暖房法とは

人は温度計の表示よりも暖かく感じるときもあれば、寒く感じるときもあります。

実は人は実際の温度以外に、10を超える環境要素を体感温度として感じています。

今回はその体感温度に関してできる限り専門用語を多用せず、できる限り一般的な言葉で説明をしたいと思います。

それとこのブログを書いたのは住宅会社の人間ですので、基本的に住宅の中の話が前提です。

しかし体感温度の基本的な概念の話をしますので、住宅の外であっても意味が分かるように書いてありますのでご安心ください。

 

0.体感温度を一言でいうなら

体感温度は、最も簡易的な計算方法では
体感温度=(温度+表面温度)÷2
と表現されます。
※ 温度は温度計で表示される一般的な温度のこと
※ 表面温度は「住宅内部の床・壁・天井」の表面温度の平均

 

参考例をイラスト化すると、下記のようになります。

室温が同じ20℃の部屋であっても、床などの表面温度が10℃ですと体感温度は15℃になってしまいます。

 

簡易的な体感温度の計算例のイメージ図

 

しかし日常生活を送っていると、太陽光に直接当たると暖かいと感じてみたり、風が吹くと涼しいと感じる事もあります。
つまりこの簡易的な表示以外にも、体感温度を左右する要素は10を超えます。
具体的な環境要素を挙げると「湿度」「気流(風)」「熱伝導」「輻射熱(遠赤外線)」などが体感温度に影響を及ぼします。

0-1. SET(エスイーティスター)標準新有効温度

SET(エスイーティスター)とは標準新有効温度と言われ、これが体感温度を最も数字で表せる指標になります。

数値化するために参考にする指標として、「温度」「湿度」「気流(風)」「放射(輻射熱)」「人の代謝量」「人の着衣量」の6つを総合的に使用します。
しかし6つの要素を一つの数字に落とし込みますので、計算式が複雑になっており、誰もが使用できる指標ではないため、一般的には使用されていないのが事実です。

1.体感温度と湿度の関係性

体感温度に影響を受ける要素の一つに湿度があります。
湿度が体感温度に影響を及ぼすイメージの一つとして、蒸し暑いと感じる梅雨があります。

実際の温度でいえば真夏よりも、梅雨のほうが温度は低いですが、体感温度でいえば梅雨も決して快適とは言えません。
例えば砂漠で生活をしていると50℃を超えることは普通にありますが、そこで生活している人であっても日本の高温多湿の夏の状況は耐えられないそうです。

この理由は湿度にあります。

 

湿度が体感温度に影響を及ぼす理由は、人が汗をかいて放熱する(1-1.気化熱 参照)が影響をしています。

一般的なイメージとして「湿度が10%上昇すると体感温度が1℃上昇」したと人は感じます。

(正確にはコモンズのグラフのようになります)

 

コモンズによる指標

 

このような指標が生まれる理由として、気化熱があります。
例えば砂漠は温度が高くても湿度が低いため、体から汗がうまく蒸発し、気化熱を活かした体温調整ができることになります。
しかし日本の湿度が高い状態では、うまく汗が蒸発せず気化熱を活かせないため日本より暑い温度の地域の人でも日本の夏の暑さは耐えられないそうです。

 

冬は温度を上げることも重要ですが、湿度も同時に上げるほうが温かく感じます。
夏は温度を下げることも重要ですが、湿度を下げることが快適な体感温度を作り出すことに寄与します。
そのため冬は加湿器が売れ、夏はエアコンのドライ機能(除湿機能)が重宝されることとなります。

 

※今回の説明でいう湿度は一般的な用語ですが、具体的に表現すると相対湿度のことを指します。

相対湿度を含む湿度の定義の解説を正確に表現すると、体感温度の説明文がさらに長くなるため、この話は後日解説をさせていただきます。

完成まで少々お待ちください。

1-1. 気化熱

水分が蒸発するときに生じる熱のこと。
一般的には汗をかくことで体温を下げる(汗が蒸発するときに生じる気化熱により身体の熱を奪う)効果があります。
例えば梅雨のように湿度が高い時期などでは汗が蒸発しにくくなり、気化熱をうまく活かせず、暑いと感じやすくなります。

1-2.不快指数

体感温度が湿度と関係している指標の一つに、不快指数があります。
温度と湿度を計測し、下図にある表を使い表示されている数字が不指指数になります。
そしてこの数字が高ければ高いほど不快であることがわかる指標です。
先ほどの説明のように、温度が高くても湿度が低いと夏でも快適と感じる場合があると説明しましたが、グラフを見ると理解しやすいかと思います。

 

2.体感温度と風(気流)の関係性

暑い日には、風を作り出すために扇風機やうちわなどを使うと思います。

これは人は風に当たると、体感温度が下がることを知っているからです。
一般的には「風速1m/sで1℃体感温度が下がる」といわれます。
しかし台風のような突風で30 m/sの風であっても体感温度は30℃は下がりません。

つまり一般的な風速までが体感温度に影響を及ぼし、それ以上の風の強さであっても体感温度には大きな変動はありません。

3. 熱の三要素「対流」「熱伝導」「輻射熱」について

温度が高いところから低いところなどに移動しますが、熱の移動は三要素があり「対流」「熱伝導」「輻射熱」があります。

具体的には下記のようになります。
建物に関する熱の移動の割合は「対流が20%」「熱伝導が5%」「輻射熱が75%」となっています。

 

3-1.対流

風が直接人間にあたることで熱を奪う行為とは別に、エアコンや石油ファンヒーターのような風を伴う熱の移動(粒子の移動を伴う熱の移動)を対流と言います。
逆に粒子の移動を伴わない熱の移動は「熱伝導(3-2.熱伝導 参照)」と言います。
一般的には、この対流(エアコンの暖房等)が室温の上下に大きく影響を及ぼします。
そして対流によって運ばれた熱により床や壁などの表面温度が上がり、伝導熱や輻射熱にも結果的に寄与します。

 

3-1-1.対流を使った暖房器具

対流熱を使った暖房器具はエアコンが最も一般的です。

石油ストーブなどは対流熱もありますが、輻射熱も同時に供給しており、空気だけを単純に暖める暖房器具はエアコンが最も特徴的なものになります

 

対流熱の特徴は空気を暖めるため、室内の空気が上手く循環していないと、頭部分が温かくなり足部分が寒い「頭温足寒」の状況になります。

例えば大型ショッピングセンターなどでは、冬場に大型扇風機を使い空気を混ぜようとしようとしています。

これはエアコン暖房(対流)だけでは足元が暖まりにくいのを、少しでも補うために行っていることになります。

3-2.熱伝導

熱伝導とは熱の三要素の一つとされ、対流熱のように空気などの気体や水のような液体の粒子の移動を伴わずに熱が移動することを言います。
参考例を挙げると、人が金属製のスプーンを10秒ほど握ると、スプーンは人の熱を吸収し温かくなります。

このように粒子などの移動がなく、熱だけが動くことを熱伝導と言います。
逆に粒子の移動を伴う熱の移動は「対流(3-1.対流 参照)」と言います。

 

人間は住宅にいるときに常に何かに接触をしています。
最も一般的な接触箇所(熱伝導が発生する箇所)は床と足裏になります。
そして床表面温度が18℃を超えると人間は床を温かいと感じ、18℃以下だと冷たいと感じます。
そのため最も人間が触る時間が長い床面を18℃以上にすることが、体感温度には非常に重要になります。

 

3-2-1.密度による熱伝導の違い

床素材にも体感温度に影響を及ぼします。
密度が低いものは温かく感じ、密度が高いものは冷たく感じます。

一般的に密度が低い床材の例として畳や針葉樹(パイン・杉)等の床材、じゅうたんなどがあります。
逆に密度が高い床材としてタイルや人工大理石などがあります。

 

これは密度が低い商品は空気を多く含んでおり、ちょっとした断熱材の効果を発揮し、人の熱を反射して温かく感じさせてくれます。

そして密度の高い商品はこの真逆のことが発生し、熱を奪うことがあります。

 

しかし熱を奪うことが一概に悪いわけではありません。

犬のように体温調整をする器官が舌と肉球しかない動物などは、熱を奪ってくれる密度の高い商品は、夏などの暑い時期に重宝します。

時と場合によって使い分けができるといいかと思います。

 

密度とは:単位容積当たりの質量のこと
密度が高いと単位面積当たりの中身が詰まっており、重たくなります。逆に密度が低いと単位面積当たりの中身が少なく、軽くなります。

 

3-2-2.熱伝導を主に使用した暖房器具

熱伝導を主に使用した暖房器具には、「カイロ」「湯たんぽ」「電気毛布」などが主な器具になります。
器具そのものが温かくなり、その熱が人体と密着し、熱移動することで温かいと感じる器具になります。

つまり熱伝導を活かした器具は、人に接触することで温かくなる器具が一般的になります。

 

3-3.輻射熱とは

体感温度で最も重要にもかかわらずイメージしにくいのが、この輻射熱です。
この輻射熱も熱の三要素の一つになります。
しかし熱の三要素の説明にも記載したとおり、建物に関する熱の移動の75%はこの輻射熱によるものです。

 

輻射熱のイメージにしにくくさせる原因として、簡単な数値化ができないことが挙げられます。

例えば湿度ならば「湿度が10%下がれば1℃体感温度が下がる」のようなものがありますが、輻射熱にはこのような簡単な数式は存在しません。

 

しかし輻射熱を使用したものは身近に多数存在しています。
例えば石焼き芋を焼く時の遠赤外線の話や、電子レンジのような仕組みなど、熱線(電磁波)でものを温める原理はこの輻射熱によるものです。

 

輻射熱とは熱線と言われる電磁波が物体にあたることで、熱に変換することを言います。

参考例を挙げると、電子レンジがイメージしやすいかと思います。
電子レンジを作動させると、電子レンジの内部は熱くなりませんが、温めたいものは温かくなります。

 

この原理を一つ一つの現象にまで分解してみると、

  1.  電子レンジが電磁波(熱線)を作り出す
  2.  電磁波(熱線)は電子レンジ内の空気中を移動する
  3.  電磁波(熱線)が温めたい物に到達する
  4.  温めたい物が電磁波(熱線)の影響により熱に変換され温かくなる

このような流れで、電子レンジ内で物が温まるのです。

 

この輻射熱は一般的に熱源(例えば床暖房)から1.5m~2mほどの物体に影響を及ぼすといわれています。

つまり床暖房などの仕組みの場合は、床から全身に輻射熱を感じることができ、温かいと感じることができます。

 

 

 

3-3-1.輻射熱を使った暖房器具

輻射熱を伴う暖房器具として、ハロゲンヒーターがあります。

ハロゲンヒーターは室温を挙げる事よりも、人に遠赤外線(輻射熱)で温める事に重きを置いた暖房器具になります。

 

ちなみに空気も温めながら、熱伝導もあり、輻射熱まで期待できる暖房が床暖房になります。

しかも床暖房は風を発生させることが無いので、体感温度を上げる暖房器具としては非常に優れているといえます。
しかし床暖房の欠点として、物理的に温められない場所(階段等)があったり、床そのものが温かすぎて足のかかとの皮膚がひび割れるなどの欠点があります。

 

床暖房の欠点もクリアした暖房が、基礎部分に蓄熱層を設け、空気を使用し床や壁を温めるSR暖房になります。

しかも全館暖房ですので、ヒートショックやコールドドラフト(言葉の意味は下記に記載)もなく、数字以上の快適性を発揮します。
しかしSR暖房は誰でも施工できるものではなく、論理も輻射熱などの多くの専門用語を必要とするため、とっつきにくい暖房と言えます。

 

4.その他体感温度に関係する用語の説明

4-1.太陽光(日射)

日向(ひなた)では暑いと思っても、日陰に行くと涼しいと思うことがあります。
これは太陽光に含まれる熱線(輻射熱)が原因です。

 

住宅の場合、パッシブハウスでこの考えが取り入れられています。

夏は日射をカットし、冬は日射を取り入れることで室内を快適にしたいと考えられた住宅を、パッシブハウスと言います。

 

しかし富山県のように冬はほぼ日差しがない地域などでは、この考えだけでは住宅は快適な室温にほぼなりません。

実際に日射や高断熱だけで快適な空間を作れるのであれば、日本中がパッシブハウスのみになるはずですが、そうならないことを踏まえると現状では不十分なところが多いのだと思われます。

 

 

4-2.遮熱

先ほどの太陽光の熱の話ではありませんが、不要な太陽熱を室内に持ち込まない考え方を遮熱と言います。(実際には室内の熱を外に出さないことも遮熱になります)

 

断熱と遮熱の違いは、空気熱(伝導熱と対流)をカットするのが断熱であり、赤外線のような電磁波をカットするのが遮熱になります。
言い換えるとどんなに断熱を頑張っても、電磁波の熱は室内に入ってきますし、どんなに遮熱を頑張っても熱伝導や対流熱は室内に入ってきます。

つまりどちらも一緒に対策する事が効果的です。
遮熱は日本では数値化できないためか断熱材として認知されていません。

しかし実際には効果的だと建築関係者では認知されており、多くの住宅建材に採用されています。

 

遮熱はアルミホイルのような、薄い金属膜があれば効果を発揮します。

言い換えるなら、住宅をアルミホイルでぐるぐる巻きにしたとしても、住宅は快適になります。
しかしアルミホイルはでは施工上にも生活上にも問題があり、住宅に使いやすいように加工された金属膜のある商品が実際は使用されています。

 

例えば光(可視光線)を通す金属膜を使用したものは、Low-eガラスとして使用されています。

また透湿防水シートに金属膜を付加したものが、遮熱透湿防水シートとして一般的に使用されます。
これらは一般的な商品と比較して価格が上昇しますが、それでも利用されるのは結局室内が快適になり、長い目で見れば光熱費などがお得になります。

 

断熱材は熱の伝わりを遅くする。遮熱は電磁波をコントロールし室内を快適にする。

 

透湿防水シートとは:建築中に張るシートで、雨などの水分ははじくが、湿気は通すシート。

住宅の場合は上棟(建前)後にすぐ張られるシートで、下記の写真のようなもの。

 

  

企業名がよく印刷されている遮熱透湿防水シート。ガラスと一緒に使われるLow-eガラス。

4-3.頭寒足熱

頭寒足熱とは「頭」が「足」よりも体感温度が低い状況のほうが人は快適であると感じることになります。

 

例えばエアコン暖房のCMを見ていると、「足元から温める気流」を売りにしていることが多く見受けられます。

これは「足元を暖めることが、人の快適に繋がる」とエアコンを作っている会社も知っているためこのようなCMをしているわけです。
しかし価格の安い汎用品のエアコンはファンの力が弱く、足元まで温めることは苦手です。

結局、頭熱足寒になってしまいやすいことが弱点です。

 

逆に床暖房などの暖房は最も暖めたい場所(床付近の空気)を直接暖めますので、頭寒足熱を生み出すのには効果的な暖房と言えます。

 

エアコン暖房に多い体温状態  床暖房に多い体温状態

 

4-4.コールドドラフト

住宅で最も室内の熱が外に逃げる場所として、窓があります。
一般的に冷たい空気は重く、温かい空気は軽くなります。
冬の場合温かい空気が外気に冷やされた窓に接することで冷たくなります。

その時に空気が重たくなり床方向に不快な冷たい風となり流れていきます。

この現象のことをコールドドラフト現象と呼びます。
この冷えた空気は体全身で感じるのではなく足元のみで感じるため、4-3頭寒足熱 の説明にもある事と逆の現象が起きており、人は不快と感じる原因の一つとなってしまいます。

4-5全館暖房と局所暖房

体感温度に影響を及ぼすことの一つに、一つの部屋だけを暖めるか、それとも家全部を暖めるかも影響します。

なぜかというと、4-4.コールドドラフト のようなことが、室内でも発生するからです。
例えば暖房の効いた温かいリビングから無暖房の寒い廊下のドアを開けると、室内に冷たい空気が入ってきます。

冷たい空気は重たいので、足元のみが寒くなります。
そのため全館暖房のほうがこのような不快な風が発生しにくく、快適な住空間を創造しやすいといえます。

4-6.着衣量

体感温度に影響を及ぼすものに、着衣量があります。

これは冒頭の0-1.SET(標準新有効温度)の指標の一つにもなっています。
暑い日は服を脱いだり、半そでを使用したりすることで涼しさを求めます。

逆に寒い日はなるべく着込むことで、自分の熱を奪われないようにします。
また服装によって日射(輻射熱)を得やすい黒色の服は、日射(輻射熱)の影響を受けにくい白色の服よりも暖かく感じやすくなります。

4-7.代謝量

人の代謝は冒頭の0-1.SET(標準新有効温度)の指標の一つにもなっています。
人間は生きているだけでカロリーを消費(熱を生成)しており、基礎代謝と言ったりもします。
これはダイエットでよく出てくる話なので具体的な説明は省きますが、代謝が多い人のほうが熱を発散しますので、人よりも暖かいとか暑いとかを感じやすくなります。

4-8.健康状態

体感温度の話をするときに、このことを指摘する方はほとんどいませんが、意外と重要な指標です。
例えばインフルエンザなどにかかると、普段は快適と思う温度であっても寒く感じます。(布団に入りたくなります)

このように健康的な状況であるかどうかは、体感温度と密接に関係しているといえます。

4-9.性別

冷え性の男性は少ないですが、女性は多く存在します。
このようなことは正確には性別だけでなく多くの違いによって生じるものですが、性別によってもたらされる体の特徴は必ずあります。
体感温度の話をする際に、性別も重要な要素の一つとして考えたほうがよいでしょう。

4-10.年齢

体感温度を考える際に、年齢も一つの要素に挙げられます。
多くは4-7.代謝 の違いによってもたらされるものになりますが、どうしても年齢が若いほうが同じ温度であっても温かいとか暑いとかを感じやすくなります。

5. 体感温度を日々の生活に活かすには

これまで体感温度について影響を及ぼす現象を、一つ一つ説明させていただきました。
しかし多くの方にとって、体感温度について詳しくなりたいわけではなく、結局のところ夏や冬が快適になれば、論理はどうでもいいとお考えになられる方も多いはずです。
そこでここからは夏と冬に分けて、具体的な対策について解説をさせていただきます。

5-1.夏の体感温度を快適にするには

日本の夏の場合は、高温多湿で日差しが強く、少しだけ風がある状況が一般的です。

その状況から体感温度を快適にするためには以下のような方法があります。

  • 湿度を60%前後まで下げる
    →エアコンのドライ機能などを使用する
    →調湿作用のある材料(壁や床)を使用する
  • 温度を27℃程まで下げる
    →エアコンの冷房機能などを使用する
  • 連続ではない風を発生させる 又は 風を取り込む
    →首振りにした扇風機などを使用する
  • 日中は太陽熱を取り込まないようにする
    →窓の外にすだれや植栽(グリーンカーテン)などを用いて日射を遮る
    →窓にLow-eガラスを採用し、不要な熱を室内に取り込まない

これ以外にも服は軽装にするなどもあります。

5-2.冬の体感温度を快適にするには

日本の冬の場合は、富山県のような日本海側は外気が寒く、湿度は高く、日差しは少なく、風はある程度ある状況が一般的です。

これが東京のような太平洋側は、外気はそこそこ寒く、湿度は低く、日差しは多く、風は結構強いのが一般的です。
しかし外気の状況はどのようなものであれ、寒さに対応するには暖房が必要です。

そして暖房にはそれぞれメリットやデメリットが存在します。

具体的には下記図にまとめましたので参考にしてください。

詳しい内容は、担当者にご確認ください。

 

暖房器具の比較表

 

具体的に冬の場合の体感温度を快適にするには、

  • 適切な湿度を保つ(60%が目安)
    →加湿器を使ったり、洗濯物を干したりする
  • ほぼ風のない室内環境
    →コールドドラフトのような局所的な不快風を抑える
    →エアコンなどの風がない空間
  • 室内の温度ムラのない空間
    →エアコン暖房のように頭が温かく足が冷たい暖房は要注意
    →床暖房のように、足元より下で温まる暖房の採用

これ以外にもリフォームなどの場合は、二重サッシを採用してみるとか、密度の低い床材を使用(触って温かいと感じられる素材)するのも体感温度を上げるには有効です。

5-3.子供やペットにとっての快適な体感温度

下図にありますように子供やペットは大人と違って、床面に顔が近く、床からの影響を大人より受けやすい状況です。

そのため大人にとって快適であっても、子供やペットにとっては暑かったり寒かったりする場合があります。

 

例えばエアコン暖房の場合を例に挙げると、天井付近よりも床付近のほうがどうしても温度は低くなります。

そのため空気をかくはんするためのサーキュレーターを使用したり、エアコンの機械そのもののファンを強いものを使用することが求められます。
しかし風を発生させることにより起きる問題として、ハウスダストを吸い込みやすいという問題があります。
暖房時に最も暖めたい場所は床面ですが、そこに対流熱を供給するためにはどうしても床面に風が発生し、ハウスダストを巻きあげる原因を作ってしまいます。

特に子供やペットは床面に顔が近くで生活していますので、その影響は大人よりも大きくなります。
また温かく乾燥した風が発生することにより起きる、乾燥の問題も考えられます。

 

エアコン暖房の欠点をほぼ解決するのが床暖房です。
床暖房のような場合は、風やハウスダストの問題はありませんので子供やペットと共に生活する上ではお勧めです。
ただし設置費用そのものが高額だったり、床から出る輻射熱の影響を大人以上に受けて、大人以上に暑く感じたりする事もあります。

 

どのような暖房であれ、大人と同じ環境で全てを理解しようとせず、時と場合によって柔軟に対応をすることで快適な体感温度を作り出すことは可能です。

 

 

6.まとめ

お客様の状況によって体感温度を快適にするため取り入れやすいことから、ほぼ不可能なことまであったと思います。

それであっても今回の内容が、皆様の住空間の快適性に寄与するのであればこれ以上の喜びはありません。

 

そして手前味噌になりますが、これらをほぼ網羅しているのが、野島建設のゼロ・ハウスに採用しているSR暖房です。

小難しい説明が多く理解しにくいのですが、これらを理解していただくと論理的かつ体系的な住宅であることがご理解いただけるかと思います。
一人でも多くのお客様に、快適な住宅を提供できるようにこれからも努力していきます。

 

記入者
野島建設株式会社 代表取締役社長  一級建築士 野島 比呂司

投稿日 2023年12月23日

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